執行猶予の期間を無事経過すると、前科は消えるのですか?

執行猶予の期間を無事経過した場合でも、前科があるという事実前科.jpg
消えることはありません。

したがって、執行猶予期間を無事経過した後に、再び犯罪を犯して捜査を受けた場合、警察官や検察官は、執行猶予期間は経過したものの前科があることを認識しています。
そして、検察官は、前科があることから、初犯としては取り扱わず、初犯より重い刑事処分を科そうとする可能性が高いです。
また、刑事裁判になった場合、検察官は、裁判官に対し、前科調書等の証拠を提出して、前科があることを主張し、初犯より重い刑事罰を求刑する可能性が高いです。

ただ、刑法で、「刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。」と規定されています。
「刑の言渡しは、効力を失う。」とは、刑の言渡しの法律上の効果が将来に向かって消滅することをいいます。

例えば、過去の刑の言渡しがあることで、資格をとることができないという効果が消滅し、資格をとることができるようになります。
弁護士は、弁護士法において、禁錮以上の刑に処せられた者は弁護士となる資格を有しないと規定されており、弁護士が執行猶予付の懲役禁錮の言渡しを受けると、弁護士資格を失います。
執行猶予期間を無事経過することで、弁護士資格を復活し得ることになります(自動的に復活するわけではありません。)。
ただし、弁護士の場合、懲戒処分で除名処分を受けることがあり、除名処分から3年を経過しないと、弁護士資格が復活することはありません。
また、執行猶予期間が無事経過することで、再度犯罪を犯したときに、執行猶予の要件である「前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」に該当することになります。
他に、市町村の犯罪人名簿から削除されますし、一定の前科があることによる選挙権・被選挙権の制限もなくなります。

このような効果を刑の消滅といいます。
刑の消滅は、執行猶予期間の経過の場合だけでなく、禁錮以上の刑の執行を終えて10年を経過したなどの場合でも、生じることになっています。
それは、犯罪を行い刑罰を受けた者の更正を促すためのものと思います。

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