幇助犯(幇助)

幇助犯とは、正犯を幇助、つまり手助けする犯罪です。見張り.jpg
刑法62条1項で、「正犯を幇助した者は、従犯とする。」と規定されており、幇助犯のことを従犯ともいいます。
それを受けた刑法63条が、「従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。」と規定されています。

幇助とは、正犯による犯罪の実行を容易にする行為のことです。
つまり、正犯である犯罪の実行者による犯罪の実行を手助けすることです。

手助けの方法については、特に限定されていません。
強盗罪に使う拳銃を準備してあげることや、詐欺罪を行う相手方を紹介してあげることのような、物理的(有形的)な方法について、もちろん幇助犯が成立します。
また、窃盗罪で家屋に侵入する方法を教えてあげること、犯罪を実行しようとする者を激励をすることのような、精神的(無形的)な方法でも幇助犯が成立すると言われています。

見張りについては、実務上、賭博の見張りが幇助犯で処理されていると言われています。
これに対し、殺人罪強盗罪などの見張りは、幇助犯ではなく、共同正犯で処理されているようです。

片面的幇助という問題があります。
これは、幇助(手助け)を受けた正犯の側が、手助けを受けていることを知らない場合でも、幇助犯が成立するかどうかという問題です。
この点、正犯者が知らないところで手助けがなされた結果、犯罪の実行が容易になったのであれば、処罰をする必要性はあると思われます。
判例・多数説も、変面的幇助でも、幇助犯の成立を認めています。

幇助犯が成立するためには、正犯者が実際に犯罪を実行することが必要とされています。
少なくとも未遂犯が成立し得る行の着手をしたことが必要と解されます。
ただ、正犯者が未遂犯の前段階である、予備罪(例えば殺人予備罪)などを犯したに過ぎない場合について、それを手助けした場合に、幇助犯が成立するかについては、肯定説と否定説に分かれています。

幇助犯が処罰されるのは、正犯者の犯罪の実行を容易にするからだと考えられています。
そうすると、幇助犯が行った手助けの行為が、実際に正犯者の犯罪実行を容易にする等の影響を及ぼすことが必要かどうかということについて、学説上の議論があります。
この点、正犯者の手助けをする行為があれば、正犯者の犯罪実行を実際に容易にしたことは必要ないとする見解があります。
これに対し、幇助犯の手助けにより、正犯者の犯罪実行が容易になったと認められることが必要とする説が有力です。

東京高裁判決平成2年2月21日は、強盗殺人事件で、正犯者がビルの地下室で殺人をするという計画であることを知り、その地下室入口戸の周囲のすき間等をガムテープで目張りしたり、換気口を毛布で塞ぐなどしたりした幇助行為をした者について、結局計画が変更となり、そのビルの地下室は全く使われなかったという事案について、実際に使用されなかった地下室における目張り等の行為について幇助犯を認めるためには、目張り等の行為が、それ自体、正犯者を精神的に力づけ、その強盗殺人の意図を維持ないし強化することに役立ったことを要すると判示しました。
そして、正犯者は、地下室における目張り行為等の存在を認識していなかったことなどから、正犯者が精神的に力づけられたなどの事情はなく、目張り行為等について、幇助犯は認められませんでした。

幇助犯を教唆した者は、「従犯の刑を科する。」と刑法62条2項で規定されています。
これは、幇助犯の教唆ですので、犯罪の手助けをそそのかした場合に、幇助犯と同じ法定刑を科するということです。

幇助犯の刑事罰については、「正犯の刑を減軽する。」と規定されていますので、例えば、刑事罰が6月以上7年以下の懲役となっている同意殺人罪の幇助犯の刑事罰は、長期及び短期の2分の1を減ずることから、3月以上3年6月以下の懲役となります。

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