偽造通貨収得後知情行使等罪

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偽造通貨収得後知情行使等罪(収得後行使罪)とは、貨幣・紙幣・銀行券を収得した後に、それが偽造・変造のものであることを知って、これを行使し、または行使の目的で人に交付する犯罪です。

この犯罪の規定は、刑法152条にあります。
この犯罪の刑事罰は、行使等した貨幣等の額面価格の3倍以下罰金(1万円以上の支払)または科料(1万円未満の支払)です。
例えば、偽造の1万円札と偽造の1000円札を収得後に偽造であることを知っていずれも使用した場合の刑罰は、3万3000円以下の罰金または科料ということになります。
外国の通貨の場合には、行使当時の為替相場における日本円の価値に換算したものが額面価格となります。
ただし、2000円以下にすることはできないと刑法152条但し書きに規定されています。

この偽造通貨収得後知情行使罪は、偽造通貨行使罪(無期懲役または3年以上の懲役)と偽造外国通貨行使等罪(2年以上の有期懲役)よりもかなり軽い刑罰となっています。
偽造通貨収得後知情行使等罪が成立する場合には、偽造通貨行使罪または偽造外国通貨行使等罪にも該当しているわけですが、特別に軽い偽造通貨収得後知情行使等罪の刑罰に処せられることになります。

同罪が軽い刑罰となっているのは、偽造通貨であることを知らずに取得した者が、その後に偽造であることを知った場合に、自分が偽造通貨を掴まされた損を取り返そうとして、真正の通貨を装って使用してしまうことは、多少同情の余地があり、強い非難まではできず、適法行為の期待可能性が低いからと考えられています。

本罪の対象となる貨幣・紙幣・銀行券は、日本で通用する貨幣・紙幣・銀行券だけでなく、日本で事実上流通する外国の貨幣・紙幣・銀行券も含みます。

収得した貨幣・紙幣・銀行券をその後に偽造・変造のものであることを知った上で、行使交付することにより成立します。
行使とは、真正の通貨として流通に置くことです。例えば、買い物に使用したり、両替したりすることです。
交付とは、偽造等の事実を告げ、または偽造等の事実を知っている者に対し、引き渡すことです。交付の場合には、行使の目的が必要です。

また、学説の多数の見解は、貨幣・紙幣・銀行券の収得は、適法なものであることが必要とし、例えば窃盗行為や詐欺行為で貨幣・紙幣・銀行券を収得した場合には、本罪は成立せず、偽造通貨行使罪または偽造外国通貨行使等罪が成立すると解しています(もちろん別に、窃盗罪詐欺罪も成立します。)。
違法に収得した場合に、偽造の通貨であることを知った後に使用することについて、同情の余地はないからです。

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