偽造私文書等行使罪

偽造私文書等行使罪とは有印私文書偽造罪、有印私文書変造罪私文書偽造document_syorui_fuutou.png
無印私文書偽造罪、無印私文書変造罪虚偽診断書等作成罪に規定された偽造・変造・虚偽記載の文書・図画を行使した場合に成立する犯罪のことです。

偽造私文書等行使罪は、刑法161条において規定されています。
偽造私文書等行使罪の刑事罰は、刑法161条で、「その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。」と規定されています。
それは、つまり、行使した文書の対象となるそれぞれの犯罪の刑罰と同一の刑罰が科されるということです。
したがって、有印私文書偽造罪、有印私文書変造罪の対象物を行使した場合には、3月以上5年以下の懲役です。
無印私文書偽造罪、無印私文書変造罪の対象物を行使した場合には、1年以下の懲役または10万円以下の罰金です。 
虚偽診断書等作成罪の対象物を行使した場合、3年以下の禁錮または30万円以下の罰金です。

本罪の対象物は、それぞれの犯罪の説明部分に記載されているのと同様ですので、各犯罪の箇所をご確認していただけたらと思います。

行使する者が自ら偽造・変造・虚偽の記載をしたことは必要なく、見知らぬ第三者かが偽造等したものでも本罪は成立します。
ですが、行使する者が、それが偽造等されたものであることを認識していることが要件として必要です。
よって、それが偽造の文書だと知らずに行使してしまった者について、本罪が成立することはありません。

また、偽造文書について、それが行使の目的をもって偽造されたことも必要ないとされています。
ですから、偽造私文書等行使罪が成立したからといって、必ずしも何らかの偽造罪等の犯罪が成立しているとは限らないのです。

行使とは、真正な文書として使用することです。
実際にあった裁判例で、東京地検の検察官が、担当していた強制わいせつ被疑事件について、告訴の取消しがあったものと仮装して不起訴処分にしようと企て、告訴人名義の告訴取下書1通を偽造し、決裁官に提出行使して不起訴処分の決裁を受けた事案で、偽造私文書等行使罪が認定されたものがあります(東京地裁判決平成19年11月20日。この事案では、合わせて、有印私文書偽造罪なども認められています。)。

自ら有印私文書を偽造し、偽造した有印私文書を行使した場合には、有印私文書偽造罪と偽造私文書等行使罪が成立し、両犯罪は牽連犯(刑法54条1項後段)となります。
また、例えば、偽造(他人名義)の預金払戻書偽造を行使して、他人の預金の払い戻しを受けるという詐欺をはたらいた場合には、偽造私文書等行使罪と詐欺罪が成立し、両犯罪は牽連犯(刑法54条1項後段)の関係になります。

偽造私文書等行使罪は、未遂も処罰されます(刑法161条2項)

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