民法(債権法)改正の解説11 意思表示の受領と意思能力、行為能力 民法98条の2 

意思表示の受領に関する民法98条の2についても一部改正されています。
改正後の民法98条の2は、以下のとおりです。

意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。
ただし、次に掲げる者がその意思表示を知った後は、この限りでない。
一 相手方の法定代理人
二 意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方


この条文だけを読んでも、内容が分かりにくいと思います。

民法98条の2の具体例

民法98条の2が想定している典型的なケースは、以下のような場合です。アパート.jpg
例えば、未成年者が、親の同意のもと、アパートで一人暮らしをしており、賃貸借契約を締結していたところ、賃貸人(大家)が賃料の不払いに基づいて賃貸借契約の解除の意思表示を文書で未成年者に行った場合に適用されます。
民法98条の2では、未成年者を相手方とする意思表示は、相手方に対抗することができない、つまり意思表示の効力を生じないことになります。
したがって、未成年者に対する解除の意思表示は有効ではないということです。
しかし、いつまでもその状態では大家も困るので、法定代理人である親が解除の意思表示がなされたことを知った場合や、未成年者が成人するなどして行為能力者になった場合は、有効なものとして取り扱われることになります。
よって、大家は、未成年者本人ではなく、法定代理人である親に対し、解除の意思表示をすれば有効なものとして認められることになります。
民法99条2項でも、代理人に対してした意思表示は、本人に対して効力が生じる旨が規定されています。

「第三節 行為能力」において、未成年者の法律行為や、成年被後見人の法律行為について、取り消すことができる旨の規定がありますが、それはあくまで未成年者や成年被後見人が積極的に法律行為を行った場合のことを想定しており、未成年者や成年被後見人が契約をした場合に適用されます。
未成年者や成年被後見人に対して解除をした場合のように相手方の意思表示の有効性だけが問題になる事例については、この民法98条の2が規定しているのです。

意思能力がない場合の追加

そして、改正前の民法98条の2では、相手方が未成年者と成年被後見人の場合しか規定されていませんでしたが、今回の民法改正では、民法3条の2で意思能力の規定が新設されたことから、相手方が意思能力を有していなかった場合も、同様の扱いになることが規定されることになりました。

意思能力の回復や行為能力者になった場合の追加

また、改正前の民法98条の2では、意思表示が有効になるのは、相手方の親権者や成年後見人などの法定代理人が知った場合だけ規定されていましたが、今回の改正で、さらに、意思能力を回復した相手方本人や行為能力者となった相手方本人が意思表示を知っている場合も意思表示が有効になることが規定されました。

ただ、実際上、民法98条の2は、それほど問題になることは少ないです。
実務的には、未成年者や成年被後見人を相手方とする意思表示をする場合は、親や後見人という法定代理人に対して行うということをおさえておけば良いと思います。

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