民法(債権法)改正の解説⑨ 詐欺 民法96条

民法総則の詐欺について、改正の対象となっています。
以下、解説いたします。
改正後の民法96条は、以下のとおりです。なお、民法96条は、強迫についても規定していますが、強迫については改正前の規定から変更がありません。

1 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺の意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。


まず、民法96条1項については、変更がありません詐欺.jpg
詐欺または強迫を受けたことにより意思表示をしてしまった者は、その意思表示を取り消すことができます。

民法96条2項は、第三者による詐欺の規定です。
基本的に、改正前の規定を受け継いでいますが、第三者の詐欺によって取消が可能になる場合が広がっています。
 改正前の規定では、第三者の詐欺によって意思表示をした者が取り消すことができるのは、意思表示の相手方が第三者の詐欺を知っていたときに限られていました。
しかし、改正後の規定では、意思表示の相手方が第三者の詐欺を知っていたときだけでなく、知ることができたときにも取り消すことが認められたのです。
「知ることができたとき」とは、知らなかったことについて過失がある場合と解釈されます。
このような改正がされたことについては、心裡留保の民法93条ただし書において、相手方が真意でないことを知ることができたときに意思表示が無効になる、すなわちわざと真意でない意思表示をした表意者が保護されることとのバランスをとるためです。
第三者の詐欺を受けた者が第三者の詐欺を知ることができた相手方よりも保護されるべきだからだと思います。

民法96条3項も一部改正されています。
改正前は、善意の第三者に対抗できない旨の規定でしたが、善意でかつ過失がない第三者に対抗できない旨に改正されました。
善意の第三者が問題になる場面は、例えば、XがYに対してYが所有する土地は地盤が非常に弱く価値が低いと欺し、欺されたYが本来の価値の半額でXに売却したところ、Xはすぐに本来の価値でZにその土地を売却した場合です。
その後Yが欺されたことに気づいて売買契約の意思表示を取り消したという状況で、XがZからその土地を取り返すことができるかどうかということが問題になります。
改正前は、Zは、YがXに詐欺をしたことを知らない(善意)のであれば、知らないことに過失があったとしても、善意の第三者としてZが保護され、Xは土地を取り返すことが認められませんでした。
しかし、詐欺の被害者であるXが、注意すれば詐欺の事実を知ることができた(過失がある)Zに負けてしまうという結論は、不合理ではないかと考えられ、今回改正がされたものです。
他の規定との関係では、特に、通謀虚偽表示をした者が善意の第三者に対抗できないという民法94条2項との関係で、詐欺の被害者は、通謀虚偽表示ををした者より、責められるべき事情は小さく、保護されるべきと考えられています。

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