民法(債権法)改正の解説37 強制執行等が時効の利益を受ける者に対してしないとき 民法154条

民法153条に引き続き、民法154条が改正されています。

改正後の民法154条は、以下のとおりです。

第148条第1項各号または第149条各号に掲げる事由に係る手続は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、第148条又は第149条の規定による時効の完成猶予又は更新の効力を生じない。

以下において、解説します。

改正前の154条について

改正前の154条は、「差押え、仮差押え及び仮処分は、権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたときは、時効の中断の効力を生じない。」という規定でした。
この条文は、改正後の148条及び149条に引き継がれています。
改正後の148条は、強制執行等について規定しており、149条は仮差押え及び仮処分について規定しています。
改正後の条文では、いずれについても、取り消されたときでも、時効の完成猶予の効力として手続終了時から6か月間は時効が完成しないことが認められています。

改正後の154条について

改正後の154条は、改正前の155条を引き継いでいます。 抵当権実行.jpg

改正前の155条は、「差押え、仮差押え及び仮処分は、時効の利益を受ける者に対してしないときは、その者に通知をした後でなければ、時効の中断の効力を生じない。

上述したとおり、改正前の差押えに関する時効の中断についての規定を引き継いだのが改正後の148条であり、改正前の仮差押え及び仮処分の時効の中断についての規定を引き継いだのが改正後の149条です。
したがって、改正後の154条と改正前の155条については、実質的に同内容の規定といえます。

この154条が問題となる典型的な事例は、第三者である物上保証人が債務者の債務の担保として不動産に抵当権を設定していた場合に、債権者が担保権の実行をした場合の消滅時効の完成猶予・更新についてです。
債権者が担保権の実行をした場合にその当事者は債権者と物上保証人になり、債務者は当事者に含まれません。
したがって、153条により、原則として時効の完成猶予・更新の効力は物上保証人には及びますが、債務者には及ばないことになります。

そして、154条では、その者に通知をした後は、時効の完成猶予・更新の効力が生じると解することができます。

これに関し、改正前の判例ですが、最高裁昭和50年11月20日は、競売開始決定が債務者に告知された場合は債務者との関係で被担保債権の時効中断の効力が生じることが認められています。
この判例の実質的内容は、改正後も引き継がれると思われますので、物上保証人に対する抵当権実行の場合に、その競売開始決定書が債務者に告知されたときには、時効の完成猶予・更新が及ぶと思われます。

また、最高裁平成8年7月12日は、時効中断の効力発生時は債務者への送達時としています。
この判例も改正後に引き継がれると思われ、よって物上保証人への抵当権実行の場合の時効の完成猶予・更新の効力は債務者への送達時に発生するものと思われます。

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