民法(債権法)改正の解説31 仮差押え・仮処分の時効の完成猶予 民法149条

民法148条に引き続き、149条が改正されています。

改正後の民法149条の条文は、以下のとおりです。

次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了した時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
一 仮差押え
二 仮処分


以下において、この149条について、解説します。

改正前の149条について

改正前の149条は、「裁判上の請求は、訴えの却下又は取下げの場合には、時効の中断の効力を生じない。」という規定でした。

改正前の149条が規定していた内容は、改正後の147条に受け継がれています。同条では、裁判上の請求について時効の完成猶予・変更が認められています。
なお、改正後の147条1項において、裁判上の請求が訴えの却下や取下げにより終了した場合でも、時効の完成猶予の効果として終了時から6か月を経過するまで時効が完成しないことになっていますが、それは改正前の裁判例でも認められていた内容です。

改正後の149条について

改正後の149条は、仮差押え・仮処分の時効の完成猶予を規定しています。砂時計.jpg
具体的には、仮差押え・仮処分の事由が終了した時から6か月を経過するまでの間、時効が完成しないという効果が生じるものとしています。
 

そして、仮差押え・仮処分については、強制執行や担保権の実行で認められている時効の更新(それまで経過した時効期間がゼロに戻り、新たにゼロから時効期間が進行することになる)の効果が認められていません。

これに対し、改正前の147条2号では、仮差押え・仮処分についても、時効の更新と同じ効果が生じることが認められていました。
改正前は、時効の中断と呼んでいました。

しかし、仮差押え・仮処分は、その後に民事訴訟において権利関係が確定することが予定されており、あくまで相手方の財産等を暫定的に保全する手続であることから、裁判上の請求や強制執行などと同列に取り扱うことは妥当ではないという観点から、今回の改正の際、時効の更新の効果が認められないことになったものと考えられます。

ただ、仮差押え・仮処分について、その事由が終了した時から6か月を経過するまでの間は時効が完成しないという時効の完成猶予の効果が認められています。
それまでの間に、裁判上の請求をし、勝訴判決を得て確定すれば、147条2項によって、時効の更新の効果が認められ、時効期間の経過がゼロに戻ります。

そこで、「事由が終了した時」がいつになるのかが問題になりそうですが、最高裁判決平成10年11月24日は、不動産の仮差押えの事案で、仮差押えの時効中断の効力は仮差押えの執行保全の効力が存続する間は継続すると判示しています。
この判決は、改正前の仮差押えの時効中断の効力についての判断であり、改正後の時効の完成猶予の効力においては別の判断がなされる余地がありそうです。

今後の判例の積み重ねが待たれます。

149条の改正の影響

149条については、仮差押え・仮処分について、これまで認められた時効中断の効力が否定され、時効の完成猶予の効力しか認められなくなるという実質的な変更があります。

ですが、改正前の時点で、実務家が時効中断のため仮差押え・仮処分を利用するというのは一般的ではないため、大きな影響は生じないのではないかと思います。

経過措置について

施行日である令和2年4月1日より前に仮差押え・仮処分がされた場合は、改正前の民法が適用され、改正後の149条は適用されません。

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