民法(債権法)改正の解説34 協議を行う旨の合意の時効の完成猶予② 民法151条2~5項

前回、協議を行う旨の合意の時効の完成猶予に関する基本的な規定である民法151条1項(改正後)について解説しました。

引き続き、協議を行う旨の合意の時効の完成猶予の具体的内容を規定する改正後の民法151条2~5項について解説したいと思います。

151条2項について

改正後の151条2項は、以下のとおりです。

前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて5年を超えることができない。


この2項の規定は、一度協議を行う旨の合意により時効の完成が猶予された間に、さらに再度の協議を行う旨の合意を交わして時効の完成猶予することを肯定したものです。
再度の協議を行う旨の合意は、あくまで当事者双方が再度合意に達することが必要です。
したがって、当事者双方が再度の合意を望むのであれば、時効の完成猶予の効力を認めるのが当事者の意思に合致すると考えられたのだと思います。

ただし、時効の完成猶予がなかったら時効が完成した時点から5年を超えることはできないとされました(151条2項ただし書き)。
いくら当事者の合意とはいえ、無制限に時効の完成猶予を認めると、時効制度の意味が失われるからだと思います。

151条3項について

151条3項の規定は、以下のとおりです。

催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第1項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催告についても、同様とする。


この3項は、催告による時効の完成猶予と協議を行う旨の合意による時効の完成猶予を交互に行いながら、時効の完成猶予の状態を続けることはできない旨を明らかにしたものです。

この点、協議を行う旨の合意による時効の完成猶予については、再度行うことで時効の完成猶予の状態を5年間続けることが2項で認められています。

他方で、催告については、再度の催告で時効の完成猶予の状態を続けることが認められていません(150条2項)。
つまり、催告は、一度きりの時効の完成猶予の手段ということです。

そして、催告が一度きりの時効の完成猶予の手段であること、協議を行う旨の時効の完成猶予もあくまで暫定的な時効の完成猶予であることから、この2つの手続を交互に行って時効の完成猶予の状態をさらに引き延ばすことは認められないことになりました。
それは、先に催告がされた後に協議を行う旨の合意をする場合でも、先に協議を行う旨の合意をした後に催告をした場合でも、同様です。

ただし、催告がされた後でも、本来の時効期間が経過する前に、協議を行う旨の合意を行った場合には、その合意時点からの時効の完成猶予として取り扱うことはできます。
条文上、「催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第1項の合意は…」と規定されているからです。

151条4項について

151条4項は、以下のように規定されています。

第1項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前3項の規定を適用する。


151条4項は、いわゆる電磁的記録による合意でも、書面による合意と同様に、時効の完成猶予の効力を認めたものです。パソコン.jpg
電子計算機は、パソコンやスマートフォン、タブレットなどのことです。

例えば、電子メールのやりとりで、協議を行う旨の合意をした場合でも、時効の完成が猶予されます。
また、インターネット上のやりとり、SNSでのやりとりでも、当事者間で協議を行う旨の合意をした場合には、時効の完成猶予が認められます。
電子署名のようなものは要件ではありません。

法律業界は、IT化が遅れがちですが、なんとかIT化しようとしている努力の形跡が見えるのが151条4項といえそうです。

151条5項について

151条5項は、以下の規定です。

前項の規定は、第1項3号の通知について準用する。


これは、151条1項3号に規定されている「当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知」についても、電磁的記録によることを認めたものです。
典型的には、電子メールで協議の続行を拒絶する旨の通知をした場合を想定しています。
このような場合にも、時効の完成の猶予期間がその通知から6か月間に短縮されます。

なお、協議の続行を拒絶する通知から6か月を経過する前に、協議を行う旨の合意時から1年経過するような場合には、協議を行う旨の合意時から1年経過した時点で、時効が完成します。
つまり、151条1項各号規定の期間のうち最も早い時期に時効が完成します。

経過措置について

施行日である令和2年4月1日より前に、協議を行う旨の合意を書面または電磁的記録でした場合、改正後の民法151条は適用しないと規定されています。
したがって、施行日前に協議を行う旨の合意をしても、時効の完成猶予の効力は認められません。

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