民法(債権法)改正の解説32 催告の時効の完成猶予 民法150条

民法150条の改正

民法150条が改正されています。

改正後の民法150条は、次のような条文です。

1 催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。


以下において、この150条の改正の解説をします。

改正前の150条

改正前の150条は、「支払督促は、債権者が民事訴訟法392条に規定する期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の中断の効力を生じない。」という規定でした。

支払督促に関するこの規定は、改正後の147条1項2号で「支払督促」について時効の完成猶予、同条2項で時効の更新を規定しているところに引き継がれています。
つまり、改正後の150条と改正前の150条は内容的に関連しません。

なお、改正前の150条では、仮執行宣言の申立をせずに効力を失ったときに時効中断の効力を生じない旨規定されていましたが、改正後の147条1項2号では、そのような場合でも手続終了時から6か月を経過するまでの間は時効が完成しないという時効完成猶予の効力が認められています。

改正後の150条1項

改正後の150条は、催告の時効の完成猶予について規定しています。508328.jpg
催告時から6か月を経過するまでの間は時効が完成しないことが150条1項に規定されています。

催告とは、相手方に対し一定の行為を請求することです。
裁判や支払督促、民事調停などの裁判所を利用する手続で請求する場合は含みません。

例えば、借金の返還債務の消滅時効が問題となる場合に、貸主が借主に支払うよう請求するのが催告です。
弁護士はよく内容証明郵便で請求したりしますが、別に内容証明郵便でなければならないわけではなく、書面でなく、口頭でも催告に該当します。
ただし、口頭では、後で立証が困難なため、請求内容も含め客観的に立証できる内容証明郵便がよく使われるのです。

催告の時効の完成猶予については、改正前の153条で、「催告は、6か月以内に、裁判上の請求、支払督促の申立て、和解の申立て、民事調停法若しくは家事事件手続方による調停の申立て、破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加、差押え、仮差押え又は仮処分をしなければ、時効の中断の効力を生じない。」と規定されていました。
改正後の150条1項は、改正前の153条とほぼ同内容です。

ただ、改正法では、仮差押え・仮処分は時効の更新の効力が認められていませんので(149条)、時効中断効がが認められていた改正前の規定とは異なりそうです。
ですが、催告後6か月以内に、仮差押えまたは仮処分をした場合に、引き続き、時効の完成猶予の効力が認められるかどうかについては、条文がありません。
このような場合に時効の完成猶予の効力を否定した規定がないから、効力は認められるという解釈は可能ですが、現時点ではっきりしないと思われます。

改正後の150条2項

改正後の150条2項では、催告をした後、時効の完成猶予中に、再度催告をしてもさらに時効の完成猶予の効力が生じることはない旨が規定されています。

この点は、改正前の時点で、大審院判決大正8年6月30日という古い判決で、再度の催告では時効中断の効力は生じない旨が明言され、この判決に基づいて運用されていました。

その意味で、判例が明文化されたのが、150条2項と言えます。

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