相続法改正⑰ 配偶者短期居住権(2)

相続法改正で新設された配偶者短期居住権について、引き続きご説明したいと思います。

配偶者短期居住権が認められている場合、配偶者は、従前の用法に従って、居住建物を使用しなければなりません(改正後の民法1038条1項)。
つまり、配偶者は、居住建物について、以前から居住していた部分で居住することはできますが、以前は居住していなかった部分を居住の用にすることはできません
この点、配偶者居住権では以前居住していなかった部分も居住することができるのと異なります。

また、配偶者短期居住権が認められている場合、配偶者は、善良な管理者の注意義務を負います(同条1項)。

配偶者は、居住建物取得者の承諾がないかぎり、第三者に居住建物を使用させることはできません(同条2項)。

配偶者が以上の義務に違反した場合、居住建物取得者は、直ちに、配偶者に対して、配偶者短期居住権を消滅させる意思表示をすることができます(同条3項)。
これに関して、配偶者居住権の場合は、消滅の意思表示の前に、相当期間を定めた催告をし、それでも是正されないことが必要です。

配偶者短期居住権が消滅した場合、配偶者は、原則として、居住建物の返還をしなければなりません。
例外的に、以下の場合、配偶者短期居住権が消滅しても配偶者が使用し続けることができます(1040条1項)。
一つ目は、配偶者が配偶者居住権を取得した場合です。
二つ目は、配偶者が居住建物の共有持分を有する場合です。
二つ目の場合は、あくまで共有者としての使用になりますので、無条件ではありません。

配偶者短期居住権が消滅して居住建物を返還するとき、配偶者は、相続開始後に建物に付属させた物を収去する権利と義務があります。
また、相続開始後に生じた損傷があるとき、配偶者は、通常損耗・経年劣化を除いて原状回復義務を負います(以上、同条2項)。
この点は、配偶者居住権と同様です。

配偶者短期居住権は、配偶者の死亡によって消滅します(1041条、同597条3項)。
配偶者短期居住権は、相続されないということです。

配偶者短期居住権は、以下の配偶者居住権と同じ規制が及びます。

所有者が配偶者の不当な使用・収益による損害賠償請求をする場合、配偶者が支出した費用の償還請求をする場合、建物返還から1年以内に請求する必要があります(1041条、600条)。

建物が全部滅失する等して使用収益できなくなった場合は、配偶者居住権は消滅します(1041条、616条の2)

配偶者短期居住権は、第三者に譲渡することができません(1041条、1032条2項)。

建物の修繕が必要になったとき、配偶者が修繕することができます(1041条、1033条1項)。
配偶者が相当期間に必要な修繕をしないとき、所有者が修繕することができます(1041条、1033条2項)。所有者は、配偶者の無償使用を許容すればよく、修繕義務を負いません。
ただ、配偶者が修繕しないことで、所有者の知らないところで建物が朽廃することを防ぐため、配偶者は、修繕を要するのに修繕しないときは、所有者に修繕を要する旨を通知する義務があります(1041条、1033条3項)。
また、建物に権利主張する者があるときも、配偶者は、所有者にその旨を通知する義務があります(1041条、1033条3項)。

そして、配偶者は、建物の通常の必要費を負担します(1041条、1034条1項)。
つまり、通常の修繕費は配偶者の負担になります。
特別の必要費、有益費については、建物所有者の負担となりますが、有益費は償還期限が猶予されることがあります(1041条、1034条2項)。

配偶者短期居住権は、2020年4月1日以降に発生した相続の場合に認められます。

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