民法(債権法)改正の解説15 [民法106条] 復代理人の権限

民法106条についても、今回の改正の対象となっています。

民法106条の改正の形式面について

まず、改正前の民法105条が丸々削除された関係で、改正前の民法106条が改正後の民法105条に繰り上がり、改正前の民法107条が改正後の民法106条に繰り上がっています。

さらに、その内容が若干変更されています。

改正前の民法107条は、復代理人の権限、義務等を以下のように規定していました。
1 復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。
2 復代理人は、本人及び第三者に対して、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。

改正後の民法106条は、以下のとおり若干変更されています。

1 復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。
2 復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。

以下において各項について説明したいと思います。

民法106条1項について

1項は変更がありません。

ちなみに、1項は、復代理人が、代理人から選任されたものの、直接本人を代理することを意味しています。
そして、当然ですが、復代理人の行為は復代理人の権限の範囲内であることが必要です。

復代理人の権限は、代理人が復代理人を選任する際に決めることができます。
ただし、代理人は、自己の代理権の範囲内にしか、復代理人の権限を設定することができません。
つまり、代理人の権限を越えるような権限を復代理人の権限とすることはできないということです。

民法106条2項について

2項は、改正後の規定には、「その権限の範囲内において、」という言葉が挿入されています。
 改正前の条文だと、復代理人が本人と第三者に対して、代理人と全く同一の権利義務を有するかのように読めてしまいますが、実際は復代理人と代理人の権利義務が全く同一とは限りません。
そこで、復代理人と代理人の権利義務が同一とは限らないことを明確にするため、「その権限の範囲内において、」という言葉が追加されたのです。

これについては、改正前から実際の解釈、運用が変更されるわけではありません。
国民にとって分かりやすい民法にするという目的から、内容を明確化したものです。

施行日後の経過措置

令和2年4月1日の施行日後であっても、施行日前に代理権の発生原因が生じた場合には、なお従前の例によります。
つまり、改正後の106条ではなく、改正前の106条が適用されます。

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