民法(債権法)改正の解説14 改正前民法105条の削除

改正前の民法105条が、今回の民法改正で丸々削除されています。
削除された条文は、以下のとおりでした。

1 代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。
2 代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。


これは、代理人が復代理人を選任した場合の規定です。

復代理人について

復代理人とは、代理人が自己の名で選任した代理人です。
ただし、復代理人は、あくまで本人の代理人として行動し、適法な復代理人の行為の効果は本人に及びます。

復代理人については、それを選任した代理人が、親権者のような法定代理人であるか、本人が自らの意思で選任した任意代理人であるかによって、異なる規制となっています。
改正前の民法105条は「前条の規定により復代理人を選任したとき」と規定しており、民法104条は任意代理人が復代理人を選任する場合の規定なので、改正前の民法105条は任意代理人が復代理人を選任した場合を前提としています。
なお、民法104条は、今回の改正の対象となっていないところ、任意代理人が復代理人を選任できるのは、本人の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときであると規定されています。
条文に明記されていませんが、あらかじめ任意代理人に対して本人が復代理人を選任する権限を与えている場合は、当然、任意代理人が復代理人を選任することができます。これは当然のことなので、わざわざ条文に規定されていません。
弁護士が依頼者から依頼を受けて交渉や裁判をしているときは、任意代理人ということになります。
任意代理人である弁護士は、依頼者本人からもらう委任状等の書類上、復代理人を選任する権限の授与を受けていることが多いです。
例えば、依頼を受けた事件の継続中に、法律事務所に新しい弁護士が加入した場合に、その新たな弁護士も加わってもらうときには、復代理人の選任という形式をとることが多いですが、あらかじめ復代理人選任の権限授与を受けていれば、わざわざ本人の許諾を得なくても良いことになります。

改正前の民法105条の内容

そして、改正前の民法105条1項は、任意代理人が本人の許諾を得て、またはやむを得ない事由があって復代理人を選任した上で、復代理人の行為によって本人が損害を被ったときに、代理人が復代理人の選任または監督について注意を怠った場合に代理人が本人に損害賠償責任を負うことを規定していました。

また、改正前の民法105条2項本文は、任意代理人が本人の指名にしたがって復代理人を選任したときは、原則として任意代理人は本人に対し責任を負わないとしていました。
ただし、同項ただし書きで、例外的に任意代理人が復代理人の不適任または不誠実を知っていながら、本人に通知することや復代理人を解任することを怠ったときは本人への責任が生じるということでした。

改正前の民法105条は、復代理人を選任した任意代理人の責任を軽減させる内容だったのです。
それは、任意代理人が復代理人を選任できる場合が民法104条で限定されていたことや、本人が復代理人を指名したことを理由に、代理人の責任を限定するのが妥当と考えられていたからです。

改正前の民法105条が削除された状況

今回、任意代理人が民法104条の要件にしたがって復代理人を選任したことや、本人が復代理人を選任したことから、一律に代理人の責任を軽減させることに批判があり、本人と任意代理人との契約の解釈によって任意代理人の責任を判断するのが妥当とされました。
これにより、改正前の民法105条は、削除されました。

その結果、改正前の民法106条の条文が、改正後の民法105条になり、一つずれることになりました。

改正後の民法105条

改正後の民法105条は、改正前の民法106条の内容と実質的に同じです。
ただ、改正前の民法106条が、「前条第1項の責任のみを負う」という記載になっていた部分が、改正前の民法105条削除の影響を受け、「その選任及び監督についての責任のみを負う」という記載に変更されています。実質的な中身は同じです。

経過措置

代理権の発生原因が施行日(令和2年4月1日)より前に生じた場合は、改正前の民法105条が適用され、改正後の条文は適用されません。

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