少額訴訟

少額訴訟とは、60万円以下の金銭支払の請求について、原則1回の期日で審理を完了して直ちに判決を言い渡すなどの簡易迅速な手続によって行われる裁判です。
少額訴訟は、民事訴訟法368条以下に規定されています。
少額訴訟を行うことができる金額について、当初30万円以下となっていましたが、平成15年の民事訴訟法一部改正の際に、60万円以下に範囲が拡大されました。

少額訴訟は、費用(特に弁護士費用など)、労力、時間との関係で、通常訴訟に馴染まない低額の請求について、簡易迅速な手続を用意することで、裁判を利用しやすくしたものです。
60万円以下の請求をする場合に、通常数十万円以上の費用がかかる弁護士を依頼するのは難しいですので、少額訴訟は良い制度だと思います。
少額訴訟があることで、泣き寝入りしないで済むという方はたくさんいるのではないかと思います。

通常訴訟と比較して、かなり簡便な手続になっているため、60万円以下の金銭支払の請求にしか認められないという限定が付いています。
したがって、離婚訴訟などの家事事件や、民事事件でも建物明渡請求訴訟、所有権確認請求訴訟、登記移転請求訴訟のような金銭支払以外の請求では、少額訴訟を行うことはできません。
また、金銭請求の場合でも、60万円を超える請求を少額訴訟ですることはできません。

それから、60万円以下の金銭の請求だからといって、少額訴訟でなければならないことはなく、通常訴訟で起こすことも可能です。

少額訴訟の管轄は、簡易裁判所になります。
裁判所の管轄については、原則として被告になる者の住所地を管轄する裁判所に管轄があります。
ただし、金銭支払の請求の場合、基本的に債権者の住所地を管轄する簡易裁判所に少額訴訟を起こすことができます。

少額訴訟の一番の特色は、原則として1回の期日で審理を終了し、その期日で和解が成立しない場合には、直ちに判決を言い渡すことになっています。
通常訴訟ですと、一般的な事件で半年~1年かかりますので、その差は大きいです。

少額訴訟は、簡易迅速な裁判手続となっていることの裏返しとして、以下のような制約・条件があります。
・同じ原告が同じ簡易裁判所で1年に10回を超えて少額訴訟をすることはできない。
・訴状の公示送達はできない(公示送達しなければならない場合、通常訴訟に移行する)。
・被告は反訴をすることができない。
・原告被告の主張立証は、1回の期日中に全て行わなければならない。
・証拠は、その期日の場で取調べできるものしか提出できない(電話会議による証人尋問が認められる場合があります。)。
・被告は、期日で弁論をし、または期日が終了するまでの間は、通常訴訟に移行することを要求することができる。
・裁判所の判断で、複雑な事件等の場合に、少額訴訟が相当でないとして、通常訴訟に移行することがある。

少額訴訟の判決についても、特色があります。
裁判所は、金銭支払を命じる場合でも、分割払いを命じることや、3年以内で支払期限を猶予すること、命じたとおりに支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払を免除することができます。
通常訴訟では、このような判決はできません。

判決に不服がある場合は、原告・被告は控訴することができませんが、異議の申立てをすることができます。
ただし、分割払いや支払期限の猶予、遅延損害金の免除についての不服は、異議申立てをできないことになっています。
異議の申立てがあると、あらためて簡易裁判所で通常訴訟の手続をすることになります。
通常訴訟の手続になった後の判決は、少額訴訟の判決を認可するか、取り消すかの判断となります。
この異議後の判決については、基本的に不服申立ができません。控訴はできません。例外的に、憲法違反を理由とする特別上告のみ認められています。

このように、少額訴訟は、簡易裁判所で完結するのが基本となります。

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