上告状(民事裁判)

上告状とは、控訴審判決に対する不服申立の上告をする際に提出する書面です。
刑事事件では、通常、上告申立書という書面を提出します。
ここでは、民事事件における上告状について説明します。

上告については、第二審である控訴審の判決に対する不服申立ですが、控訴と異なり、上告できる場合が限定されています
つまり、控訴は、第一審の判決で一部でも敗訴していれば、不服申立である控訴をすることができます。
これに対し、上告できるのは、基本的に憲法違反と法令違反がある場合に限定されています。
このように上告できる場合が法律上限定的に列挙されており、上告の要件を上告理由といいます。

上告状は、上告期間内に控訴審の裁判所に提出する必要があります。
上告期間は、控訴審の判決書が送達された日から2週間以内です。
送達された当日は含みません。
例えば、11月12日に判決書の送達を受けた場合、12日は含まないので、13日から起算して2週間の11月26日中に上告状を提出しなければなりません。

上告状に記載しなければならない事項は、控訴状と同様、以下のとおりです。
①当時者氏名・住所などの表示
②法定代理人がいる場合は、法定代理人の氏名・住所などの表示
③控訴審判決の表示(判決主文)
④控訴審判決に対して上告する旨

それから、④上告する旨だけでなく、上告してどのような判決を求めるかという上告の趣旨も記載するのが通常です。
例えば、「原判決を破棄し、さらに相当の裁判を求める。」という記載をします。
また、控訴審判決の全部について不服なのか、一部について不服なのか、という不服申立の範囲も記載するのが一般的です。

加えて、上告の際、弁護士を依頼している場合は、訴訟委任状を添付する必要があります。
また、上告の手数料を裁判所に収入印紙で納付する必要があります。
裁判所へ支払う上告の手数料は、その不服申立の価額によって変わり、第一審の裁判を起こす際に支払う金額の2倍です。
さらに、通常、期日呼出費用について、郵券(郵便切手)で納付することになります。

上告については、最高裁判所で審理するというイメージがあると思いますが、必ずしもそうではありません。
高等裁判所で上告について審理することがあります。
それは、第1審が簡易裁判所、控訴審が地方裁判所の場合です。
高等裁判所に上告する場合と、最高裁判所に上告する場合で、上告理由も異なります。

そして、最高裁に上告する場合の上告理由は、以下のとおりであり、これらのどれかに該当しないと上告できません。
①控訴審判決に憲法の解釈の誤り、その他の憲法の違反があること。
②控訴審が、法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
③法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
④日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと。
⑤専属管轄に関する規定に違反したこと
⑥法定代理権、訴訟代理権、代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと
⑦口頭弁論の公開の規定に違反したこと
⑧判決に理由を付せず、または理由に食い違いがあること

高等裁判所に上告する場合は、上告理由が一つ増えます。
それは、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があることです。
すなわち、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反がある場合でも、最高裁に上告することはできないのです。

これらの要件を満たさないと、上告が不適法なものとして却下されてしまいます。
ただし、上告理由に該当しないのに、上告理由があるものとして上告された場合は、上告棄却となります。

なお、上告理由の具体的な主張については、上告状で記載する必要はなく、多くの場合で上告理由書という書面に具体的に主張がされます。

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