あへん煙等所持罪とは
あへん煙等所持罪とは、あへん煙・あへん煙を吸食するための器具を所持する犯罪のことです。
あへん煙等所持罪は、刑法140条に規定されています。
同罪の刑罰は、1年以下の懲役です。
あへん煙・あへん煙を吸食するための器具について
この犯罪の客体の一つは、あへん煙であり、これは、あへん煙輸入等罪において説明しているとおり、けしの液汁を凝固させたもの(生あへん)を吸引に適するように加工・精製したもののことです。
もう一つの客体は、あへん煙を吸食するための器具です。これについては、あへん煙吸食器具輸入等罪と同様であり、例えば、あへん煙を吸引する煙管が該当します。
所持について
あへん煙等所持罪は、これらの物を所持する場合に成立する犯罪であり、所持とは、事実上自己の支配化に置くことであって、実際に手で持っていることが必要なわけではありません。
この点、販売目的であへん煙を所持した場合は、あへん煙輸入等罪で処罰されます。
販売目的であへん煙を吸食するための器具を所持した場合は、あへん煙吸食器具輸入等罪の対象となります。
したがって、あへん煙等所持罪は、販売目的が無い状態で所持した場合に成立するものです。
あへん煙等所持罪に関する裁判例
それから、古い裁判例で、あへん煙を吸食してあへん煙吸食罪を犯した際に、あへん煙や、あへん煙を吸食するための器具を所持したことについては、あへん煙吸食罪に吸収され、別にあへん煙等所持罪は成立しないと判示されたものがあります。
ただし、別の古い裁判例で、以前からあへん煙・あへん煙を吸食するための器具を所持していたところ、それらを用いてあへん煙吸食罪を犯した場合には、あへん煙等所持罪もあへん煙吸食罪も両方とも犯罪として成立するとされました。
そして、あへん煙吸食罪とあへん煙等所持罪は、併合罪の関係に立つと解されました。
あへん煙等所持罪は、未遂も罰すると刑法141条で規定されています。