民法(債権法)改正の解説19 権限外の行為の表見代理 民法110条

民法110条について、改正の対象となっていますが、わずかに形式的な変更があるだけです。

改正後の民法110条は、以下の規定となっています。

前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

以下において、説明します。

民法110条の改正内容

改正前の民法110条は、「前条本文の規定は」というものでした。
ですから、「第一項」が入っただけの改正です。

それは、「前条」である民法109条が改正により1項と2項が設けられ、改正前の民法109条の条文が改正後の民法109条1項になったことによるものであり、ごく形式的な改正になります。

民法110条の解説  

民法110条は、権限外の行為の表見代理を規定しています。これを権限踰越(ゆえつ)の表見代理とも言います。  

それは、例えば、以下のような事例です。
Hは、自分がマンションを借りるにあたり、不動産屋から連帯保証人が必要と言われ、友人のIにマンションを借りる連帯保証人を依頼したところ、Iは快諾してくれました。
その際、IはHの連帯保証人になる契約締結の代理権をHに授与する委任状に実印を押し、Hに交付しました。
Hは、この連帯保証人になる契約締結の代理権を授与された委任状を使い、Iを連帯保証人として多額の借金ができるのではないかと考え、資産家Jに委任状を持って行ったところ、資産家JはIが連帯保証人になるならと言い、HがIの代理人として連帯保証人になる契約をした上で、1000万円を貸してくれました。
その後、Hは、借金を返せなくなり、行方不明になったため、資産家Jが、Iに対して、連帯保証人として借金を返済するように請求しました。

Iからすれば、Hに授与したのは、Hがマンションを借りる際にIが連帯保証人になる契約締結の代理権であり、Hが借金する債務の連帯保証人になる契約の代理権ではありません。
したがって、Hの行為は無権代理であり、Iは連帯保証人としての責任を負わないのが原則です
しかし、資産家Jは、IがHに連帯保証人になる契約の代理権を授与したと信じてお金を貸し付けたことについて、不測の損害を被ることになります。

そこで、民法110条は、代理権を授与された者がその権限外の行為をした場合に、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときは、代理権を授与した本人が責任を負う旨を規定しました。
これにより、第三者である資産家Jは、Hが代理権を有していると信ずべき正当な理由がある場合には、Iに対して借金を返済する責任を追及することが認められます。

どのような場合に正当な理由が認められるかといえば、第三者が善意無過失の場合と言われています。
つまり、第三者である資産家Jが、本当はHにIが借金に関して連帯保証人になる代理権を授与されていないことについて、知らず(善意)、かつ過失が無いこと(無過失)が必要とされています。

資産家JがHに代理権が無いことを知っていれば問題外ですので、実際上争いになりやすいのは、資産家Jが無過失といえるかどうかになります。

このようなケースで、お金を貸した者が貸金業者である場合には、多額の貸金をする場合に、いくら実印の委任状があったとしても、本人確認をしないということは過失ありと評価される可能性が高いです。
資産家Jが貸金業者でない場合には、実印の委任状があるときに、代理権を疑うべき特段の事情がないのであれば、本人確認をせずとも、無過失と評価される可能性が高いと思います。
過失の有無というのは微妙な判断ですので、個別のケースによって変わる可能性があります。

民法110条は、重要な条文であり、他にも色々な論点があります。

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