相続法改正⑪ 遺言執行者の権限の明確化等(5)

前回に引き続き、特定財産承継遺言、いわゆる相続させる旨の遺言がある場合に、遺言執行者の権限に関する改正になります。

以下の民法1014条3項が新設されています。
前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金または貯金の払戻しの請求及びその預金または貯金にかかる契約の解約の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。

今回の改正前の時点の銀行実務でも、遺言執行者による預貯金の払戻しは基本的に可能とされています。
ただし、改正前の民法上に明確な規定はありませんでした。
そこで、今回の相続法改正において、遺言執行者は、特定財産承継遺言がある場合に、対抗要件の具備、預貯金の払戻しの請求及び預貯金の契約の解約申入れをする権限が認められたものです。

ただし、預貯金の契約の解約申入れについては、一部の解約ということはなく、預貯金全部の解約になるため、預貯金全部が特定財産承継遺言の対象となっている場合にのみ可能とされています(改正後の民法1014条3項ただし書き)。

それから、上記1014条3項の規定からすると、遺言執行者ができるのは、対抗要件の具備、預貯金の払戻し、預貯金の契約の解約申入れであり、遺言執行者が預貯金の名義を遺言者から相続人に変更することまでは認められていないものと思われます。

加えて、改正後の民法1014条4項において、「前二項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。」と規定されておりますので、遺言のなかで1014条3項と異なる記載がある場合には、遺言が優先されることになっています。
例えば、遺言のなかで、預貯金全ては長男に相続させると記載され、あわせて遺言執行者に別の者が指定されているときに、「遺言執行者は、預貯金の払戻しの請求も、預貯金の契約の解約申入れも、できないものとする。」と記載されている場合は、遺言執行者は、預貯金の払戻しも、預貯金の契約の解約申入れもできないことになります。

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