民法(債権法)改正の解説2 [民法3条の2] 意思能力

今回の民法改正は、債権法改正と言われていますが、民法の債権法以外であっても、債権法と関わりの深い民法総則の規定は改正の対象となっています。

民法3条の2の新設

 民法改正で、以下の民法3条の2が新設されています。

法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする


改正前の民法では、有効に契約締結などの意思表示をする能力である幼児.jpg
意思能力についての規定がありませんでした。
判例上は、意思能力のない者がした法律行為は無効であることが確立されていました。
例えば、幼児、重度の知的障害者、泥酔者は、一般的に、意思能力がないとされています。

今回、民法3条の2は、これまで法文化されていなかった判例法を明確に規定することで、一般の人にとっても分かりやすい民法にすることを目的として、新設されたものです。

意思能力とは

どのような場合に意思能力があるかについて、具体的な法律行為の内容によって要求される能力のレベルが変わってくるか、どのような法律行為でも一律の能力の存否が判断されるかという点で、学説上の争いがあります。
この点、判例は必ずしも明確ではありませんが、法律行為の内容によって意思能力が認められるレベルを変えている場合が多いものと考えられています。
具体的に考えてみた場合でも、コンビニエンスストアでジュースを買う契約をする能力と、投資用不動産を買う契約をする能力では、必要とされる判断能力の水準も変わるのが妥当なものと思われます。
この点に関しては、議論が集約されず、引き続き解釈に委ねられています。

無効について

それから、意思能力がないことによる法律行為の無効について、改正前では、意思能力を欠く者の側からしか主張できない相対的無効と解釈されていました。
この点、改正の審議において、無効ではなく取消の対象として取消しを主張できるのは意思能力を欠く者の側だけにすることも検討されましたが、結局、取消しではなく無効とされることになりました。
明確化されていませんが、無効を主張できるのは意思能力を欠く者の側だけであるという解釈が維持されるものと考えられています。

なお、民法3条の2が新設されるに伴い、「第二節 意思能力」が新しく設けられ、以前は第二節であった「行為能力」が第三節になっています。

経過措置について

施行日令和2年4月1日より前に行われた意思表示については、改正後の民法3条の2は適用されず、改正前の民法の適用となります。
ただし、改正前の時点でも、意思能力を有しない者の意思表示は無効とされていますので、その点で変わりないと思います。

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