相続法改正㉔ 遺留分(2)

遺留分侵害額請求.jpg改正前は、遺留分減殺請求権が原則として物権的な効果のある請求権として認められていたところ、今回の改正により、遺留分侵害額請求権という金銭的請求権に大きく変わったことを前回ご説明しました。

今回の改正により、遺留分侵害額請求をする金額の計算について、明確化しています。
計算は、大きく分けて2段階あります。
まず最初に、①遺留分を計算します。
次に、②遺留分侵害額を計算し、この金額を受遺者・受贈者に請求することになります。

改正前の民法では、①遺留分の計算について規定がありましたが、遺留分権利者が受けた特別受益の処理や相続債務の処理について条文上明確になっておらず、裁判例の集積で処理していた部分がありました。
今回の改正では、不明確なところがあった上記②について明確な規定が設けられました。

①遺留分の計算は、以下のとおりです(改正後の民法1042条、1043条)。
被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に、以前被相続人が贈与した財産の価額を加え、債務の全額を控除して、遺留分を算定するための財産の価額を出します。
これを計算式の形にすると、「被相続人が相続開始の時において有した財産の価額+以前被相続人が贈与した財産の価額-債務の全額=遺留分を算定するための財産の価額」となります。
例えば、被相続人が死亡時に1億円の財産を有しており、以前に贈与したのは死亡の半年前に行った次男に対する現金1000万円の贈与だけであり、死亡時の負債が2000万円あったとすると、「1億円+1000万円-2000万円=9000万円」の9000万円が遺留分を算定するための財産の価額となります。

そして、遺留分を算定するための財産の価額に、遺留分割合を乗じ、さらに法定相続人を乗じたものが、遺留分となります。
計算式の形にすると、「遺留分を算定するための財産の価額×遺留分割合×法定相続分=遺留分」です。
上記例で、法定相続人は男子2人だけのところ、被相続人が長男に8000万円の自宅を相続させる、残る2000万円の預金は平等に遺産分割するように、負債も平等に分けるようにという遺言を残していた場合、次男の遺留分は以下の計算になります。
9000万円×2分の1×2分の1=2250万円となり、2250万円が次男の遺留分になります。

②遺留分侵害額の計算は、さらに以下の計算が必要です(改正後の民法1046条2項)。
遺留分から、遺留分権利者が受けた特別受益を引き、さらに遺留分権利者が遺産分割で具体的に取得すべき遺産の額(このとき、寄与分は考慮しない)を引いて、遺留分権利者が承継する相続債務の額を足したものが、遺留分侵害額になります。
計算式の形にすると、「遺留分-遺留分権利者が受けた特別受益-遺留分権利者が遺産分割で取得すべき遺産の額+遺留分権利者が承継する相続債務の額=遺留分侵害額」ということになります。
これを上記例にあてはめると、以下のようになります。
2250万円-1000万円-1000万円+1000万円=1250万円となり、1250万円について、次男が長男に請求できることになります。
もちろん、次男において、特別受益がなく、遺産分割で取得すべき額もなく、承継する相続債務もないという場合には、遺留分をそのまま遺留分侵害額として長男に請求できます。

このように、遺留分に関する計算は、かなり複雑ですので、専門家の弁護士に相談されることをおすすめします。

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