民法(債権法)改正の解説26 法定追認 民法125条

民法125条の改正

民法125条が、一部改正されています。

改正後の125条は、以下のとおりです。

追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない。
一 全部又は一部の履行
二 履行の請求
三 更改
四 担保の供与
五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
六 強制執行


改正後の125条は、改正前の条文をほとんど引き継いでおり、改正された点はわずかです。
以下において、125条の内容も含め、解説したいと思います。

民法125条の内容

民法125条は、瑕疵ある意思表示や制限行為能力者の行為のように取り消すことのできる行為について、追認したわけではないものの、1号~6号の各事由に該当したときに、法律上追認があったものとみなされることを規定しています。
例えば、未成年者が契約を締結後、成人した後に、1号~6号に該当した場合に、追認したのと同じ扱いになり、取り消すことができなくなります。
これを法定追認と言います。

1号~6号に規定されているのは、以下の事由です。バイク.jpg

1号の全部又は一部の履行とは、例えば未成年者がバイク屋でバイクを100万円で買う契約を締結し、成人になった後、100万円の代金を支払った場合、債務の全部の履行に該当します。
代金の一部の50万円を支払った場合でも、一部の履行に該当します。
成人後に債務の履行をしたということは、黙示的に追認をしたといえるから、追認したものとみなされるのだと思います。

2号の履行の請求とは、例えば上記の例で、未成年者が、代金100万円を支払い、その後に成人になった上で、買ったバイクを引き渡すように請求した場合に該当するものです。
成人後に目的物の引渡しを請求したということは、これも黙示的に追認したといえるのではないかと思います。

3号の更改とは、当事者間で従前の債務に代えて給付内容の重要な変更をするなどの新たな債務を発生させる契約のことです(民法513条)。
更改というのは、実務上、滅多に使われることがありません。

4号の担保の供与とは、上記の例で、未成年者が成人後にバイクの代金100万円支払の担保として、高級腕時計を提供した場合のことです。
担保の供与についても、黙示的に追認したといえそうです。

5号の取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡とは、上記の例で、未成年者が成人後にバイクを100万円で手に入れることのできる権利を友人に譲渡した場合が該当します。
これも黙示的な追認といえます。

6号の強制執行については、上記の例で、未成年者が代金を支払った後、成人した場合に、中古車屋が中古車を引き渡そうとしないため、その中古車について差押えなどの強制執行をしたときに該当します。
わざわざ強制執行までしていますので、黙示的な追認にあたるものと思います。

以上の各号に該当した場合に、追認したものとみなされ、取り消すことができなくなります。

ただし、未成年者が成人後に上記各号に該当する行為をしたものの、異議をとどめた場合、つまり追認ではないということを明確に断りを入れて行為した場合については、追認したものとみなされません。
わざわざ追認ではないと異議をとどめた場合には、追認したものとみなす必要性はないからです。

改正の内容

今回の改正については、改正前の条文では、最初に「前条の規定により」という言葉がありましたが、これが削除されただけです。

これはなんとなく削除したのではありません。
きちんとした意味があります。

改正前では、前条、つまり124条の1項において、「追認は、取消の原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じない。」という規定でしたが、改正後の124条には、「取り消すことができる行為の追認は、取消の原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない。」という規定になりました。

したがって、125条で「前条の規定により」という言葉があったままですと、法定追認についても、取消権を有することを知った後でなければ、法的効力を生じないことになってしまいます。

ところが、古い判決ですが、大審院判決大正12年6月11日が、法定追認は、取消権が存在することを知らなくても適用されると判示していました。

そこで、今回、「前条の規定により」の言葉を削除することで、大審院判決を否定するものではないことを明らかにしたものです。
そして、法定追認の場合に、取消権が存在することを知った者の行為でなくても、追認したものとみなされるかどうかについては、引き続き解釈に委ねることになりました。

この改正に関する法制審議会の議論のなかでは、法定追認の場合も、取消権が存在することを知ったうえでの行為であることが必要ではないかとの指摘があり、大審院の判決が変更になる可能性はあると思います。

経過措置について

施行日(令和2年4月1日)前に取り消すことができる行為がされた場合は、改正後の125条は適用されず、改正前の125条の適用になります。

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