自己拘束力

自己拘束力とは、民事訴訟における判決の効力の一つで、判決の言い渡しがなされると、判決をした裁判所自身が言い渡された判決の撤回や変更をすることができなくなることです。

自己拘束力は、自縛力や自縛性とも言われます。

自己拘束力について、民事訴訟法で明確に認めている規定はありませんが、一般的に認められています。
自己拘束力は、判決確定前でも発生します。

判決以外の裁判である決定命令には、自己拘束力が否定されている場合があります。
一つは、訴訟指揮に関する決定、命令は、いつでも取り消すことができると民事訴訟法120条に規定されており、自己拘束力が認められていません。
もう一つは、決定、命令に対して抗告がなされた場合に、決定、命令をした裁判所、裁判長が抗告を理由があると認めるときは、その裁判を更正しなければならないと民事訴訟法333条で規定されています。この限りで、自己拘束力が否定されているものと解されます。

また、自己拘束力については、判決を言い渡した裁判所自身が撤回や変更することが絶対できないわけではなく、例外的に撤回や変更が認められています。
まず、判決に計算違い、誤記その他これらに類する明白な誤りがあったときには、裁判所は、更正決定により訂正・変更をすることができます。判決の更正とも言われます。
誤記については、その原因が裁判所のミスによるものかどうかとは無関係に更正決定をすることが裁判例で認められています。明白な誤りであるかどうかについて、判決書の記載だけから誤りが明らかな場合だけでなく、訴訟経過の全体からみて誤りが明白な場合も含むものと裁判例で認められています。
それから、判決の変更というものも認められています。
これは、判決をした裁判所が、自ら判決に法令違反があることを発見したとき、その言渡し後1週間以内であれば判決内容を変更することができるものです(民事訴訟法256条)。
これも自己拘束力の例外と言われています。
判決の変更は、言渡し後1週間以内でも、不控訴の合意や上訴権の放棄などによって判決が確定したときには、行うことができません(民事訴訟法256条1項但書)。
加えて、判決の変更は、新たに口頭弁論を開いた上で行うことはできません(民事訴訟法256条1項但書)。つまり、法令違反のある判決を変更するのにあたって、新たな事実認定が必要になる場合には、判決の変更はできないのです。


 

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