情状酌量(酌量減軽)

 情状酌量(酌量減軽)とは、犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、裁判所がその刑を減軽することです。
情状酌量というのはニュースやドラマで聞いたことがあるかもしれませんが、法律上は、酌量減軽が正式な用語になります。

酌量減軽については、刑法66条に規定があります。

情状とは、犯罪の動機や態様・被害結果・共犯者がいる場合の関係性(首謀者か、従属的か)などの犯罪事実に関する事情と、被告人の生い立ち・生活環境・社会的地位・前科前歴・反省の程度・被害者感情・示談や被害弁償・近親者の監督・社会的制裁・再犯可能性などの一般的な事情を合わせた事実関係のことです。

これらの全ての事情である情状を考慮し、裁判所において、被告人に酌むべき事情がある場合、法律で定められている刑罰である法定刑よりさらに軽い刑を言い渡すことができることが定められています。
これが酌量減軽であり、裁判上の減軽とも言われます。

逆に、被告人の身勝手な犯行で、悪質さが際立っているとしても、それで裁量的に法定刑より刑が加重されるということはありません。同じ犯行を何度も行っている等の一定の要件を満たす場合に、刑を重くする事由に該当することはあります。

具体的には、以下のように刑が減軽されます。
・死刑の罪→無期懲役・禁錮または10年以上の懲役・禁錮
・無期懲役・禁錮の罪→7年以上の懲役・禁錮
・有期懲役・禁錮の罪→長期及び短期を2分の1にする
・罰金の罪→上限額及び下限額を2分の1にする
・拘留の罪→長期を2分の1にする
・科料の罪→多額を2分の1にする

例えば、刑事罰が6月以上7年以下の懲役・禁錮という法定刑になっている自殺幇助罪について、裁判所が酌量減軽(情状酌量)を認めると、長期及び短期が2分の1になりますので、3月以上3年6月以下の懲役・禁錮のなかで判決が言い渡されることになります。
また、傷害致死罪の法定刑は、3年以上の有期懲役となっています。有期懲役は20年以下となりますので、3年以上20年以下の懲役ということになります。そして、酌量減軽(情状酌量)が認められると、1年6月以上10年以下の懲役のなかで判決が出ることになります。

刑事罰が法定刑より軽くなる事由は、他に、心神耗弱や、未遂犯、過剰防衛、自首などがあり、これらは法律上の減軽事由といいます。
これらに該当する場合は、さらに刑罰が減軽されることがあります。法律上の減軽事由には、該当すれば必ず減軽される必要的減軽事由と該当しても減軽されるか否かは裁判所の裁量である任意的減軽事由があります。

既に述べたとおり、刑罰を重くする事由もあります。加重事由といいます。
複数の犯罪を犯している場合で、併合罪になると、法定刑より重くなります。

実際に言い渡される判決は、これらの減軽事由や加重事由を考慮した上で、導かれることになります。

 

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