人身買受け罪

人身買受け罪とは、人を買い受ける犯罪です。人身売買.jpg
人身買受け罪の規定は、刑法226条の2第1項です。
人身買受け罪の刑事罰は、3月以上5年以下の懲役です。

人身買受け罪は、人身売買の罪の1つです。
人身売買の罪に関しては、以前、国外移送目的人身売買罪という規定があっただけでした。
国際連合(国連)で採択された「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書」(国際組織犯罪防止条約人身取引議定書)の締結に向けた国内法の整備に基づき、平成17年の刑法一部改正において人身買受け罪が新設されました。
国際組織犯罪防止条約人身取引議定書では、搾取の目的で、暴力その他の形態の強制力による脅迫・その行使・誘拐・詐欺・欺罔・権力の濫用・脆弱な立場に乗ずること・他の者を支配化に置く者の同意を得る目的で行われる金銭・利益の授受の手段を用いて、人を獲得・輸送・引渡・蔵匿・収受する行為を処罰することを締約国に義務づけています。
このうち、人身買受け罪は、他の者を支配化に置く者の同意を得る目的で行われる金銭・利益の授受の手段を用いて、人を獲得する行為等に該当するものと思われます。

本罪は、人を物と同様に扱って買い受けることによって処罰されます。
刑法226条の2第1項の条文上は、単に「」と記載されていますが、同2項で未成年者を買い受けた場合には、未成年者買受け罪として、人身買受け罪より重い刑事罰が科されることが規定されていますので、1項の「人」は成人を指すものと考えられています。

人を買い受けるとは、対価を支払って人に対する不法な支配の引渡しを受け取ることです。
対価は、金銭だけでなく、物品その他の経済的利益でも足りると思われます。

被害者が人身売買の対象になることに同意している場合でも、本罪が成立するかという問題があります。
被害者が自由かつ真摯な意思のもとで同意している場合には、違法性を阻却し、本罪が成立しないとする説があります。
ただし、国際組織犯罪防止条約人身取引議定書においては、同議定書で禁止している手段がとられた場合、被害者が搾取に同意しているか否かは問わず処罰すべきとされています。
そうだとすれば、被害者が人身売買の対象になっていることを同意したとしても、本罪は成立すると解される可能性が高いと思われます。

本罪は、未遂犯も処罰されます(刑法228条)。
買受けの申込みがされた時点で、実行の着手が認められ、人の支配の引渡しにまで至らなければ、本罪の未遂犯として処罰されるものと思われます。

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