占有離脱物横領罪(遺失物等横領罪)

占有離脱物横領罪(遺失物等横領罪)とは、遺失物、漂流物その他占拾いもの有を離れた他人の物を自己のものにした場合に成立する犯罪です。

刑法254条に規定されています。
占有離脱物横領罪の刑罰は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料(1000円以上1万円未満の金員の支払)です。
占有離脱物横領罪は、刑法の規定上、横領の罪の一つとされ、横領罪と同じ種類として規定されていますが、横領罪は委託信任関係を裏切るという点が本質であるのに対し、占有離脱物横領罪は全く委託信任関係はないことから、犯罪の性質は異なる部分が多いと思われます。

刑法254条で規定されている遺失物とは、占有者の意思によらずに占有を離れ、まだ他の誰の占有下にもない物のことです。
落とし物は、基本的に遺失物です。
遺失物については、遺失物法という法律があり、遺失物を拾った者はすみやかに遺失者に返却するか、警察署長に提出しなけなければならないと規定されています。また、拾ったのが施設内の場合には、すみやかに施設占有者に交付しなければなりません。
それをしないで自分のものにしてしまった場合に、遺失物横領罪が成立します。

また、漂流物とは、 遺失物のうち水中にあるもののことです。

それから、その他占有を離れた他人の物とは、遺失物法2条1項の準遺失物(誤って占有した他人の物、他人の置き去った物及び逸走した家畜)などです。
誤って占有した他人の物とは、スーパーマーケットで余分に釣り銭をもらったことに自宅で気づいた場合の余分な釣り銭です。これを横領した場合、横領罪ではなく、占有離脱物横領罪が成立します。
裁判例で、養殖業者のいけすから逃げ出した鯉を湖で捕獲して自分のものにしてしまった事案で、天然のものと区別できることから、占有離脱物横領罪が認められました(最高裁決定昭和56年2月20日)。

道ばたで発見したものでも、誰のものでもない物(無主物)を自分のものにしても、占有離脱物横領罪は成立しません。
ただし、1500~1600年以上前に埋蔵された宝石鏡剣を墳墓だった塚から見つけ出して自分のものにした事案で、埋蔵物の権利は子孫などに承継されるから、 占有離脱物横領罪が成立するとされたものがあります。
また、ゴルフ場のロストボールやパチンコ屋で床に落ちているパチンコ玉は、ゴルフ場やパチンコ屋の管理者の占有に属することから、占有離脱物横領罪ではなく、窃盗罪が成立するものと思われます。

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