相続法改正の解説13 [民法1016条] 遺言執行者の復任権

遺言執行者の復任権についての民法1016条についても相続法改正が及んでいます。

民法1016条

改正前の民法1016条は、以下のとおり規定されていました。

1 遺言執行者は、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができない。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2 遺言執行者が前項ただし書の規定により第三者にその任務を行わせる場合には、相続人に対して、第105条に規定する責任を負う。


改正後の民法1016条は、以下のとおりです。

1 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

遺言執行者の復任権

この民法1016条は、遺言執行者が、どのような場合にその任務を第三者に行わせることができるかという問題が規定されています。
これを復任権といいます。

改正前の民法1016条では、遺言執行者がその任務を第三者に行わせるには、やむを得ない事由があることが必要でした。
そうすると、十分な法的知識がない遺言執行者が難しい問題を解決できなくなったり、非常に多くの財産を有していた遺言者の場合に遺言執行者が全部自分でやらなければならないで困ってしまったり、ということが起こるおそれがありました。
もっと広く、遺言執行者が弁護士などの専門家に依頼することができた方が良いのではないかという観点で、改正されることになりました。

改正後の内容

そこで、改正後は、遺言執行者は、自己の責任で、第三者に遺言執行の任務を行わせることができることになり、基本的に遺言執行者の判断で第三者に依頼することができるようになりました。
例外的に、遺言者が遺言において復任権を制限している場合は、それに従うことになっています(1016条1項ただし書き)。

遺言執行者が第三者にその任務を行わせた場合に、第三者が問題を起こした場合は、遺言執行者自身に問題があろうとなかろうと、その責任を負うことになります(改正後の民法1016条1項)。
ただし、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由がある場合には、その選任及び監督についてのみ相続人に対して責任を負うという限定があります(改正後の民法1016条2項)。

なお、復任権については、成年後見人などの法定代理人や弁護士に訴訟を依頼するなどの任意代理人についても、規定があります。
このような代理人が選任する場合、選任された第三者は復代理人といいます。
改正前の民法1016条は任意代理人が復代理人を選任する場合の取扱いと近い規定でしたが、改正後の民法1016条は、法定代理人が復代理人を選任する場合と同様の内容になっています。

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