身代金目的被略取者収受罪

身代金目的被略取者収受罪とは、身代金を得る目的で、略取・誘拐された人質.jpg
者を収受する犯罪のことです。
身代金目的被略取者収受罪は、刑法227条4項前段に規定されているものです。
身代金目的被略取者収受罪の刑事罰は、2年以上の有期懲役(20年以下)となっています。

この犯罪は、既に略取・誘拐された者について、自ら身代金を得る目的で収受することを独立の犯罪としたものです。
本罪は、営利目的被略取者引渡し等罪に似ています。営利目的である財産上の利益を得る目的のうち、身代金を得る目的の場合が本罪でより重い刑事罰が科されることになります。
本罪は、目的犯とされます。

身代金を得る目的については、条文上、「近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的」と規定されています。
近親者とは近い親族の者であり、親子や夫婦、兄弟姉妹、祖父母・孫などがあたります。
問題は、安否を憂慮する者に、親族関係まではない者がどのような範囲まで含まれるかという点です。
この点に関し、学説上の争いがあります。

最高裁判決昭和62年3月24日は、「単なる同情から被拐取者の安否を気づかうようにすぎないとみられる第三者は含まれないが、被拐取者の近親でなくとも、被拐取者の安否を親身になって憂慮するのが社会通念上当然とみられる特別な関係にある者はこれに含まれる」と判示し、銀行の社長が略取され、銀行の幹部に身代金が要求された事案で、社長と幹部の関係で、安否を憂慮する者に該当することを認めました。
下級審ですが、東京地裁判決平成4年6月19日は、銀行の行員が略取され、銀行の頭取に身代金が要求された事案でも、行員と頭取の関係で、安否を憂慮する者に該当する旨を判断しました。
このように、判例は、「安否を憂慮する者」について、比較的広く解釈していると思います。

それから、財物を交付させる目的となっていることから、金銭には限定されないものの、何らかの経済的価値のある物を得る目的が必要です。
したがって、物を得るのではなくて、借金を免除させるとか、サービスを受けるとかの目的の場合には、本罪の対象になりません。
その場合は、営利目的被略取者引渡し等罪が成立します。

収受とは、略取・誘拐の被害者の身柄を自己の支配化に置くことです。
支配化に置いた時点で、本罪が成立します。その後に、身代金を得られたかどうかは本罪の成立とは関係ありません。

本罪は、未遂犯も処罰されます。

また、本罪を犯した者が、公訴を提起される前に、略取・誘拐された者を安全な場所に解放したときは、刑の減軽がされることになっています。
被害者の安全などを図るための政策的規定と考えられています。
安全な場所については、近親者警察などによって安全に救出されると認められる場所のことです。

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