保護責任者遺棄罪

保護責任者遺棄罪とは、老年者・幼年者・身体障害者・病者を保護責任者遺棄maigo_girl.png
保護する責任のある者が、これらの者を遺棄する犯罪です。
保護責任者遺棄罪は、刑法218条前段に規定されています。
保護責任者遺棄罪の刑事罰は、3月以上5年以下の懲役です。

保護責任者遺棄罪は、単純遺棄罪と比較し、保護責任者という身分にある者が犯したことで刑罰が加重されているものです。
このように身分が構成要件となっている犯罪を身分犯といい、そのなかでも身分があることで刑罰が加減されるものを不真正身分犯といいます。

老年者・幼年者・身体障害者・病者については、単純遺棄罪と表現が変わっていますが、内容的には同様ですので、単純遺棄罪の説明をご覧ください。

これらの者を保護する責任のある者、つまり保護責任者がどのような者を指すかが問題になります。
判例や多数説は、保護責任者が認められる根拠を以下のように分類します。
①法令、②契約、③事務管理、④慣習、⑤条理が挙げられます。

①法令に基づく場合の例としては、子に対する監護義務(民法820条)を負う親権者、相互に扶助義務(民法752条)を負う夫婦、扶養義務(民法877条以下)を負う親族があります。

②契約に基づく場合としては、例えば、介護契約を締結した介護者や、看護契約を締結した看護師です。

③事務管理は、民法697条に規定されています。例えば、義務がないのに知り合いの病人を引き取った者がこれに該当します。元々義務がなくても、一旦引き取った以上、きちんと保護する責任が発生します。

④慣習とは、社会生活において反復して行われ、人の行動を拘束するようになった社会規範のことです。慣習に基づく場合としては、古い判例で、雇っていた人間が病気になった後、解雇して立ち去らせた使用者について、本罪の成立が認められた事例(大審院大正8年8月30日)が例として出されます。

⑤条理とは、社会生活の根本理念であり、物事の道理ということです。条理に基づく場合としては、ホテルの客室で少女に覚せい剤を注射したところ、少女が錯乱状態になったのに置き去りにした事例で、本罪の成立が認められたものがあります(最高裁平成元年12月15日)。

交通事故について、自動車の運転手が歩行者を轢き、3か月入院加療を要する重傷を負わせたところ、被害者が歩行できなかったので自動車に乗せた後、事故現場を離れ、降雪中の薄暗い車道上まで運び、医者を呼んで来ると嘘をついて被害者を自動車から下ろし、放置したまま自動車で立ち去った事例において、保護責任者遺棄罪の成立が認められました(最高裁判決昭和34年7月24日)。最高裁は、道路交通法の救護義務違反があることを根拠に、保護義務を認めているような判示になっています。
ですが、単なる轢き逃げの事案で、保護責任者遺棄罪が認められた事例はこれまでなく、一旦自動車に乗せたことが保護責任者遺棄罪が認められた実質的根拠ではないかと考えられています。

本罪の遺棄については、①移置だけでなく、②置き去りも含むものと考えられています。
①移置とは、ある場所から別の場所へ運ぶ積極的な行為のある場合です。
②置き去りとは、既にいる危険な場所から自分だけが立ち去り、被害者を放置する場合です。
保護責任者遺棄罪は、保護義務を負う者にだけ成立するので、②置き去りという不作為も含めるのが適切とされています。
これに対し、単純遺棄罪では、①移置だけが対象になると考えられています。

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