犯罪行為をして無罪になりそうでならない場合について

飲酒刑事事件で実際に罪を犯したにもかかわらず無罪になる場合として、責任能力の問題があります。
つまり、法律では、責任能力がない人は犯罪行為をしても刑罰が科されないことになっています。

最近のニュースでは、佐世保市で起きた殺人事件で逮捕された女子高生が精神鑑定を受けたことが報道されました。精神鑑定によって女子高生に責任能力があるかどうかを確認しているのです。
責任能力がない人というのは、精神病や精神障害などによって、自分の行為が違法であることを認識できず、また自分の行動を自らの意思でコントロールできない人のことです。
ただし、精神病や精神障害の場合だけでなく、飲酒による酩酊状態が病的な場合や覚せい剤中毒の場合でも、まれに責任能力がないと判断されることがあります。

それでは、犯人が、日頃から恨みを持っていた人を殺そうと考え、勢いをつけるために大量に飲酒したところ、病的酩酊により判断能力を完全に失って訳が分からない状態になり、当初殺そうと思っていた人を包丁で刺して殺した場合は、刺した行為について殺人罪を問われるでしょうか。

ここでまず問題となるのが、刺したときに責任能力があったかどうかですが、この事例では病的酩酊により判断能力を完全に失って訳が分からない状態になっていますので、滅多にはないことですが責任能力はないと判断されることが考えられます。
犯罪行為時に責任能力がないとされた場合、その行為について罪を問うことはできないのが原則です。
しかし、一般j常識としては、自ら大量に飲酒した者が人を殺した場合に何のお咎めなしというのは、納得できないのではないかと思います。

そこで、このような犯人を処罰すべきとする刑法理論として登場したのが原因において自由な行為という考え方です。
この法理は、犯罪行為(実行行為)が責任能力のない状態でなされた場合であっても、その状態が責任能力あるときの行為(飲酒行為)によって犯人が自ら招いたものであるときは、犯罪行為(実行行為)について完全な責任を問うという考え方です。
今回のような事例で責任能力が認められるためには具体的にどのような要件を満たす必要があるか、その理論的根拠については、刑法学者のなかで論争があります。

最高裁判決は、原因において自由な行為という理論を認め、完全な責任能力を認めるべきと判断しているものがあります。
ただし、今回のような事例が実際の刑事裁判で問題になることは非常に珍しいです。
したがって、今回のような事例で、どのような要件を満たせば完全な責任能力が認められるのかについては、まだ判例で確定しているとはいえないと思います。
ですが、今回のような事例が無罪とされることは今後もないのではないかと思います。

なお、アメリカやイギリスでは、自ら精神障害を招いて犯罪を行った場合は完全な責任能力を認めることが制度として確立されているということです。
日本の刑法には、そのような条文がないことから、原因において自由な行為というむずかしい理論が論争になっているわけです。

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