弁論準備手続

弁論準備手続とは、民事裁判において、争点と証拠の整理を目的として、弁論準備手続.jpg
裁判所で開かれる期日のことをいいます。

裁判の期日というと、公開の法廷で、裁判官が高いところに座り、弁護士や当事者が向かい合って、主張をし合う光景が一般的にイメージされると思います。
それは、民事裁判では、口頭弁論という期日になります。
公開の法廷で行われる口頭弁論の場合、格式ばった進行になる傾向があります。

これに対し、弁論準備手続は、公開の法廷ではない、会議室のような部屋で、裁判官と弁護士、当事者が、1つのテーブルを囲み、裁判の手続を進めるものです。
それにより、関係者の距離も縮まり、踏み込んだ話がしやすくなって、柔軟なやりとりが可能になります。
状況によっては、片方の当事者(弁護士)のみと裁判官とで話をし、もう片方の当事者(弁護士)は一時的に退室するということも行われます。
そのため、当事者の主張の応酬をしつつ、話し合いによる解決、つまり和解に向けたやりとりも進めるような場合に、弁論準備手続は向いており、実際によく利用されます。

弁論準備手続については、民事訴訟法168条以下に規定があります。

まず、裁判所は、争点と証拠の整理を行うため必要があると認めるとき、当事者の意見を聴いた上で、弁論準備手続に付することができます(民事訴訟法168条)。

弁論準備手続は、当事者双方の立会が保障されますが(民事訴訟法169条1項)、原則として非公開とされています。
民事裁判では、事案の性質上、公開に適さない事件、あるいは、私的な事項や営業秘密に関わる事項が問題となる事件があります。
これらの事件のように、争点整理の実効性を高めるためにむしろ一般公開しない方が望ましい事件や、多数の書証を整理する事件、図画や画像・映像等を確認しながら争点整理を進める必要がある事件などの場合には、当事者の立会権を保障しつつ一般公開を否定して、機動的に実施することができる手続が良い場合があります。

弁論準備手続は、通常、法廷以外の準備室、和解室、裁判官室などで実施されます。
また、原則非公開ですが、裁判所が相当と認める者には傍聴を許すことができます。
当事者が申し出た者については、原則として傍聴が認められますが、手続に支障を生じるおそれのある場合には傍聴を認められないことがあります(民事訴訟法169条2項)。
手続に支障を生じるおそれのある場合とは、傍聴人が傍聴にとどまらず勝手に発言して審理を妨げるおそれのある場合や、傍聴人がいることで相手方当事者が委縮し自由な発言が困難になり争点整理の実効性を欠くおそれがある場合などです。

当事者が遠隔地に居住している場合や、弁護士の事務所が遠隔地の場合、電話会議システムにより、電話で弁論準備手続を進めることが認められる場合があります(民事訴訟法170条3項)。
ただし、当事者の一方は、裁判所に出頭することが必要なため、電話で済ませることができるのは、当事者の片方だけです。

弁論準備手続は、口頭弁論の準備を目的とする制度であり、口頭弁論とは異なります。
その審理に関しては、口頭弁論の規定のうち、必要かつ相当な規定を準用する旨の規定が置かれています(民事訴訟法170条5項)。
具体的には、裁判長が訴訟指揮権を有すること(民事訴訟法148条)、裁判官が釈明権を有すること(民事訴訟法149条)、時機に後れた攻撃防御方法が却下され得ること(民事訴訟法157条)、自白の擬制(民事訴訟法159条)などについての口頭弁論の規定が弁論準備手続に準用されています。

弁論準備手続で行うことができるのは、基本的には、争点と証拠の整理です。
文書と準備書面の証拠調べ、証拠申出に関する裁判、期日外にできる裁判ができることになっています(民事訴訟法170条1項、2項)。
文書についての証拠調べについては、文書の成立に争いがあり、証人尋問によらなければその点を確認できない場合は、その文書の証拠調べをすることができません。
また、弁論準備手続において、和解もできます。

争点整理の目的を達成して弁論準備手続を終結するときは、裁判所は、その後の証拠調べによって証明すべき事実を当事者との間で確認します(民事訴訟法170条5項、165条1項)。
この場合、裁判所が相当と認めるときは、裁判所書記官にその事実を弁論準備手続調書に記載させなければなりません(民事訴訟規則90条・86条1項)。
また、裁判長は相当と認めるときは、当事者に争点及び証拠整理の結果を要約した書面を提出させることができます(民事訴訟法170条5項、165条2項)。

弁論準備手続が終了した後に新たな攻撃防御方法が提出された場合、具手続終了前にその攻撃防御方法を提出できなかった理由を相手方から求められたら、期日において口頭で、または、書面でその理由を説明しなければなりません(民事訴訟法174条、167条)。
その説明をしなかった場合や、提出できなかったことがやむを得ないと認められる説明がなされなかった場合には、当該攻撃防御方法が却下されることがあります(民事訴訟法170条5項、157条1項)。

弁論準備手続後、口頭弁論において、弁論準備手続の結果が陳述されることになっています(民事訴訟法173条)。
ただし、実務上は、ごく形式的に、裁判官が、「弁論準備手続の結果を陳述とします。」と言ってお終いということが多いです。

このような弁論準備手続は、実際の民事裁判で何度か開かれることが多いです。
ただし、一度も弁論準備手続を開かないまま、判決に至ることもあります。

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