任意的当事者変更

任意的当事者変更とは、一般に、民事裁判の係属中に原告の意思により原告または被告が交替することです。

任意的当事者変更の上位概念として当事者の変更があり、この当事者の変更のなかに、任意的当事者変更と法定当事者変更があります。
法定当事者変更とは、当事者の加入と交替が直接法律に基づくものをいい、いわゆる訴訟承継がこれらに該当します。
また、任意的当事者変更を広義に解すると、当事者の加入(任意的当事者加入または追加的共同訴訟)を含みますが、一般的には、任意的当事者変更という場合には当事者の交替のみを意味する場合が多いです。
以下では、当事者の交替の意味での狭義の任意的当事者変更について、述べます。

そもそも、法的には、任意的当事者変更は許容されるかどうかが問題となります。
なぜなら、民事訴訟法において、明確に任意的当事者変更を認めた条文がないからです。
大多数の学説は、任意的当事者変更を許容します。

ただし、任意的当事者変更の法的性質については争いがあります。
古くからの通説的見解は、任意的当事者変更の法的性質について、新しい当事者に関する新たな訴え(主観的追加的併合の訴え)の提起と古い当事者に関する訴えの取下げという2つの行為の複合であるとします。
それは、つまり、任意的当事者変更という条文にない一つの行為を認めるのではないということです。その理由の一つとしては、任意的当事者変更を認める明文がないことから、真正面から認めにくいということがあると思います。
この見解によると、任意的当事者変更の要件としては、第1審であること、旧訴の取下げに相手方の同意があること(民事訴訟法261条2項)があります。弁論の併合は必要的でないとされます。
また、任意的当事者変更の効果については、印紙は別に貼らなければならない、時効中断、期間遵守について旧訴と新訴の連続性が認められない、基本的に旧訴の訴訟行為は新訴には利用できないとされるのが一般的です。
ただし、この説では任意的当事者変更の意味が乏しくなることから、通説的見解に拠りながら、旧訴状の利用、印紙の流用、時効中断効の連続性、従来の弁論や証拠調べの結果の一括援用(新当事者が実質的に旧訴に関与していた場合、一括援用の同意を強制する)等の効果を認める説が有力になっています。

これに対し、特殊行為説と言われる少数説があります。
同説は、任意的当事者変更の法的性質について、当事者の変更を生ぜしめることを目的とする特殊な単一の行為と主張します。
任意的当事者変更の要件としては、ⅰ訴訟物の密接関連性、ⅱ旧被告の同意、ⅲ控訴審の場合、新被告の同意、ⅳ上告審ではないことが挙げられます。
そして、同説は、任意的当事者変更の効果として、旧当事者との訴訟関係が原則として新当事者に受け継がれる(印紙の流用等が認められる)とします。

なお、任意的当事者変更に似て非なるものとして、当事者の表示の訂正があります。
これは、訴状の表示を甲から乙に変更しても、当事者の同一性に変更がなく、単なる表示の訂正になるもののことです。表示の訂正は、訴状の補正(民事訴訟法137条)などとして一般に許容されています。
実際の裁判例で、「株式会社栗田商店代表取締役栗田末太郎」と記載された振出人による約束手形訴訟が訴状の記載上は「栗田末太郎」個人に対して起こされた場合に、実在の「栗江興業株式会社」に変更することを表示の訂正とした判決(大阪地裁判決昭和29年6月26日)があります。
これに対し、任意的当事者変更は、当事者の同一性がない(人格が異なる)場合です。

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