推定

推定とは、ある事実から他の事実を推認することです。

刑事裁判でも用いられますが、民事裁判で問題になることが多いため、以下においては民事裁判に関することを記述します。

推定には、大きく分けて、2つあります。
1つ目は、事実上の推定です。
これは、推定が裁判官の自由心証主義の一作用として経験則を適用して行われる場合のことを言います。
例えば、交通事故で、道路のブレーキ痕の長さから急ブレーキを踏む前の自動車のスピードを推認するというのが、事実上の推定です。
あくまで裁判官それぞれの判断であり、必ずしも、ある事実がある場合はこの事実を認定しなければならないということは決まっていません。

2つ目は、法律上の推定です。
これは、推定の際の経験則が法規化され、その規定の適用として推定が行われる場合のことです。
つまり、法律で、ある事実が認められればこの事実を推認するということが規定されているものです。
法律上の推定は、さらに2つの場合に分けられます。

1つは、法律上の事実推定です。これは、「Aという事実があるときはBという事実があるものと推定する」と法律で規定されている場合です。
例えば、民法186条2項において、「前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。」と規定されているものが法律上の事実推定です。
この規定では、主として、取得時効で問題となりますが、取得時効の場合、20年間占有したことが要件となっているところ、最初の占有とその20年後の占有をした事実が認められれば、その間占有が継続した事実が推認されることになります。
20年間一度も途切れることなく占有が継続したことを立証するのは非常にむずかしいことから、最初と最後の占有の事実を立証すれば、その間継続していたことが推認されることにしたのです。その場合、取得時効を否定したい当事者は、一度途切れた事実を立証できれば、占有が継続したという推定は覆されることになります(途切れたことを立証する必要があり、途切れたかもしれないという程度の証拠では足りません)。このように、立証責任が転換されることになります。

もう1つは、法律上の権利推定です。
「Cという事実があるときはDという権利があるものと推定する」と法律で規定されているものです。 
例えば、民法229条で、「境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。」と規定されています。これが法律上の権利推定です。
法律上の事実推定は、推定されるものが事実でしたが、法律上の権利推定は権利そのものが推定されます。
法律上の権利推定も、法律上の事実推定と同様、立証責任が転換されます。したがって、民法229条の共有の推定がなされた場合、これを否定したい当事者は、自分が境界標の全費用を出した事実の証拠を提出するなどして、共有ではないことを立証しなければなりません。

また、法律上「推定」という言葉が用いられている場合で、以上に述べた厳密な意味での推定とは異なるものがありますので、紹介します。

法定証拠法則
 事実認定の際の裁判官の自由心証に対する一応の拘束といわれるものです。
 例としては、民事訴訟法228条4項において、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と規定されているものがあります。
 この規定は、事実の推定ではなく、事実を認定するにあたっての証拠の評価に関するものです。

解釈規定
 一定の法律行為に関する当事者の合理的意思を推測して所定の法律効果を付与する法技術と言われます。
 これを覆すには、当該法律効果を発生させない旨の合意の存在を積極的に主張立証しなければなりません。
 例としては、民法420条3項で、「違約金は、賠償額の予定と推定する。」と規定されているものがあります。

暫定真実
 
要件事実の一つから他の要件事実を無条件に推定することにより証明責任を転換するものです。
 例として、民法186条1項が、「占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。」と規定しています。
 これは取得時効で主として問題になります。

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