抗弁

抗弁とは、相手方の主張を排斥させるため、相手方が主張する事実と両立し得る新たな事実を主張することです。

例えば、相手方が自己に100万円貸したことを主張して100万円の返還請求の裁判を起こしてきた場合に、100万円借りたことを認めた上で、100万円は既に返したと主張することが抗弁の主張です。

抗弁の事実については、抗弁を主張する者が立証責任を負います。
抗弁については、否認の1つの積極否認が新たな積極的事実を持ち出して相手方の主張を排斥させようとする点で似ていますが、積極否認はあくまで相手方が立証責任を負う事実を争うことですが、抗弁は自己が立証責任を負うという点で、異なります。
積極否認は、先ほどの例で、相手方から100万円は受け取ったが、借りたのではなく、もらった(贈与を受けた)と主張することです。

抗弁を大きく分けると2種類があります。
事実抗弁とは、抗弁のうち、権利の発生・変更・消滅原因事実が主張されていれば足りるものと言われます。
 単に抗弁という場合は、事実抗弁のことを指す場合が多いです。最初の例の抗弁は、事実抗弁です。
権利抗弁とは、抗弁のうち、権利の発生原因事実が主張されていても、それだけでは足りず、訴訟上その権利行使の主張がなされなければ抗弁として裁判所が判断できないもののことです。
 要するに、ただ事実を主張するだけではなく、抗弁に基づく権利の主張が必要なものです。
 例えば、消滅時効の援用(民法145条)や同時履行の抗弁権(民法533条)、留置権(民法295条)などです。

抗弁の主張の方法の観点から、いくつかの種類に分けられます。
制限付自白とは、相手方の主張する事実を認めながら抗弁を主張することです。
 最初の例で、100万円を借りたことは認めながら全額返したという抗弁を主張するのが制限付自白です。
仮定抗弁とは、相手方の主張を争いながら予備的に抗弁を提出したり、複数の抗弁を述べる場合に仮定条件ないし順位を付しながら重ねて抗弁を主張したりする場合のことです。
 これは、100万円を借りたことを否認した上で、仮に100万円借りたとしても消滅時効を援用するので債務が消滅したという権利抗弁を主張することです。
 この場合、裁判所は当事者が主張する仮定条件や主張の順位等に拘束されず、100万円の貸付という事実を認定しなくても、いずれにせよ消滅時効成立により100万円の返還請求は認められないと判断しても構いません。
予備的抗弁とは、複数の抗弁を述べた場合や仮定条件ないし順位を付しながら重ねて抗弁を主張した場合に、裁判所が当事者の順位等に拘束される場合のことです。
 仮定抗弁に似ていますが、抗弁を主張した当事者が予備的抗弁を主張した場合には、裁判所は最初に主位的な事実の認定をした上で、次に予備的抗弁の事実について認定しなければならないもののことです。
 具体的には、先ほどの例で、100万円を借りたことを否認した上で、予備的抗弁として仮に100万円の貸付が事実だとしても、反対債権として100万円の債権を相手方に有しているのでその債権をもって相殺することを主張した場合のことです。
 このとき、裁判所は、100万円の貸付の事実は不明だが、反対債権があるからいずれにせよ相殺は可能なので100万円の返還請求は認められないという判決をすることはできません。その点で仮定抗弁と異なります。
 なぜなら、相殺の抗弁を主張した者にとっては、100万円の貸付自体が認められなければ、自己の債権が消滅する相殺をする必要がなく、100万円の貸付が否定されたのか、相殺の抗弁で債務が消滅したのかは、非常に重要だからです。
 なお、民事訴訟法において、相殺の抗弁については既判力が認められていますので(114条2項)、相殺の抗弁が認められた場合には、その反対債権を別の訴訟で請求することはできません。

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