一部請求

一部請求とは、金銭債権などに関し、例えば、全債権が1000万円であるところ、200万円だけ請求するというように、債権の一部を訴訟で請求する場合のことです。

一部請求それ自体を明確に認めた法律の規定(明文)はありません。

そこで、一部請求がそもそも許されるかという問題がありますが、裁判実務や通説は、一部請求を肯定しています。
その根拠として、処分権主義が挙げられています。

また、一部請求をして、それについての判決が確定した後、債権の残額を請求することが許されるかも問題とされています。
法的には、一部請求についての判決の既判力に債権の残額の請求が抵触するのではないかという点が問題になります。
既判力とは、裁判が形式的に確定すると、その内容である一定の標準時における権利または法律関係の存否についての裁判所の判断が、それ以後、その当事者間において同じ事項を判断する基準として強制通用力を持つという効果のことです。

この点、以下のように様々な学説が、議論しています。
①全面的肯定説
 私的自治の原則から分割行使の自由が認められる以上、前訴の審判対象は当該一部のみであるとします(訴訟物の範囲決定の観点からのアプローチ)。
②全面的否定説
 一回の訴訟における紛争解決機能をできるだけ高めるのが望ましいとの視点から、審判対象(訴訟物)は債権全額であって、これに既判力が生ずる以上、残部請求は前訴既判力により遮断されるものとします(訴訟物の範囲決定の観点からのアプローチ)。
 既判力の正当化根拠は、手続保障の充足に伴う自己責任であり、抽象的にも「提出し得た」ときには失権を正当化するものとします(既判力の正当化根拠からのアプローチ)。
③具体的手続保障説
 既判力による失権の本体は、具体的な攻撃防御方法レベルで作用すること、前訴で敗訴した場合には当該一部を訴求するために当然に残部についても主張立証する必要に迫られ、それでも敗訴したのであるから、残部請求は既判力によって遮断されるとし、前訴で勝訴した場合には原則として残部について主張立証すべき必要に迫られないため、残部請求は既判力に抵触しないとします。
④判例
 一部請求であることを明示していた場合には、訴訟物は一部のみであり、当該一部請求についての確定判決の既判力は残部請求に及ばないとします。
 その根拠として、学説上、一部請求であることの明示がある場合には、被告にとっても残部請求を予測できるので、被告から残部不存在の反訴を提起することができるということが言われています。 

この一部請求の問題に関連して、いったん不法行為による損害賠償請求訴訟に勝訴した原告が、前訴の口頭弁論終結後に判明した後遺症の賠償を求める訴えを提起することができるかということが議論されています。
①判例
 一部請求と同様に取り扱い、前訴を明示的一部請求であると同視できる事情がある場合には肯定します。
 実際に、肯定した裁判例が、最判昭和42年7月18日です。
 このような判例に対しては、学説上、一部請求の問題は、単一の債権であることを前提としているはずであり、一部請求として扱うことに無理があるとの批判があります。
②民事訴訟法の学説の多数説
 原告が後遺症については手続保障の機会を与えられていないことを理由に一部請求論と同様の扱いをし、肯定します。
③学説の有力説
 別の被侵害利益として、別の訴訟物とします。

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