特別弁護人

特別弁護人とは、刑事事件の弁護人のうち、弁護士でない者のことです。

弁護人は、原則として、弁護士資格を有して日本弁護士連合会に登録している弁護士の中から選任されることになっています。
ただし、法律上の例外として、簡易裁判所または地方裁判所における第1審においては、弁護士ではない特別弁護人が、裁判所の許可がある場合に限り、被告人についての弁護活動をすることが可能とされています(刑事訴訟法31条2項)。

弁護士は、法律の専門家ですが、その他の分野の専門家が、弁護活動に役立つことがあります。
例えば、医師や心理学者、社会福祉士のように、それぞれの専門分野(医学、心理学、社会福祉)が、弁護活動に役立つことが想定されます。
そのような専門家が弁護人になることで、適切な弁護活動がなされる場合を想定して、特別弁護人という制度が認められています。

ですが、特別弁護人の制度は、あまり活用されていません。
やはり、大多数の事例で、弁護士が弁護人に就任しています。

特別弁護人が活用されていない1つの理由として、特別弁護人が認められるためには、制限が多いことがあると思います。

第1審が地方裁判所の裁判の場合には、他に弁護士の中から選任された弁護人がいることが必要です。
特別弁護人が必要になりそうな場合は、地方裁判所が第1審の場合が多いと思われます。

また、既に記載したとおり、特別弁護人の選任は、裁判所の許可が必要です。
そして、どのような場合に、裁判所の許可が認められるかについては、あまり明確になっていませんので、裁判所から許可されないことが十分あります。
特別弁護人を選任する方向で、色々な検討をした挙げ句、裁判所から許可されないかもしれないのだとすると、なかなか利用しづらいと思われます。

それから、特別弁護人は、捜査段階では利用できないとされています。
法律の条文上は、明確な記載はありませんが、最高裁判所が平成5年10月19日に、捜査段階の特別弁護人は認めない決定を出しています。
したがって、特別弁護人は、裁判における弁護活動に限定されます。

加えて、先ほどの医師や心理学者、社会福祉士は、特別弁護人ではない形でも、被告人の弁護活動に寄与することができます。
つまり、証人として出廷することがあり得ます。
証人として出廷することの方が、圧倒的に多く認められているものと思われます。
裁判官としても、証人として出廷してもらう方が、受け入れやすいものと推測されます。
つまり、裁判官としては、あくまで法廷で主体的に活動する者は、裁判官、検察官、弁護士という法律家に限定した方が、手続を進めやすいと考えているものと思われます。

ですが、今後、何らかのきっかけがあれば、特別弁護人の利用が進むかもしれません。

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