同時犯

同時犯とは、2人以上の者が、互いに意思の連絡がない状態で、たまたま同時に、同じ対象に犯罪を実行する場合のことです。

例えば、殺人罪の事例で、XさんがAさんを殺そうとして遠くから拳銃でAさんに発砲したところ、たまたまYさんも同様にAさんを殺そうとして拳銃を発砲した場合に、同時犯となります。

同時犯というもの一般について、法律上の規定はありません。
また、実際に、上記の例に挙げたような事態が起こることは滅多にありません。
ですので、刑法学における議論となっている事例の1つではあります。

同時犯については、いくつかの問題があります。

1つは、上記の例で、Xさんの弾丸もYさんの弾丸もそれぞれAさんの心臓を同時に貫き、Aさんを即死させた場合に、刑法上の因果関係が認められるかという問題があります。
刑法上の因果関係については、一般に、「あれなくばこれなし」という条件関係が必要とされています。
両者の弾丸が同時に心臓を貫いたのだとすれば、Xさんが発砲しなくてもYさんの発砲による銃弾がAさんを死なせる以上、「あれなくばこれなし」の関係が認められないということになり、Xさんには因果関係が認められず、殺人未遂罪しか認められないことになるとの学説があります。この学説は、同様に、Yさんについても、殺人未遂罪しか認めません。
これに対し、実際にAさんは死亡しているのに、どちらも殺人未遂罪というのは常識に反するとし、いずれも殺人既遂罪を認めるべきとする説もあります。
このような問題を択一的競合ともいいます。

また、上記の例で、XさんかYさんのどちらかの弾丸1つがAさんに命中してAさんは死亡したが、どちらの弾丸が命中したかが不明の場合に、どのような犯罪になるかの問題があります。
この点について、一般的に、Xさんは、自分の弾丸が命中したとは限らない以上、死亡結果との因果関係は認められず、殺人未遂罪しか成立せず、Yさんも同様に殺人未遂罪しか成立しないことになります。
実際には、Aさんがどちらかの弾丸が命中したことで死亡したのに、どちらも殺人未遂罪になってしまうことはおかしいのではないかとも思われますが、因果関係がはっきりしない以上、やむを得ないと考えられています。

ただし、傷害罪の場合について、同時傷害の特例というものが刑法に規定されています。
それは、BさんがDさんを怪我させようと思って石を投げ、同時にたまたまCさんもDさんに怪我させようと思って石を投げた場合に、どちらの石か分からないがどちらかの石がDさんに命中してDさんが怪我をした場合に、BさんもCさんも両方傷害罪を成立させるものです。
つまり、殺人罪の場合は未遂犯しか認められないものについて、傷害罪は既遂犯を認めるというものです。

このように、同時犯は、あまりあり得そうにないことなのですが、刑法学では真剣に議論がされています。

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