虚偽風説流布業務妨害罪

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人の業務を妨害する犯罪のことです。
虚偽風説流布業務妨害罪の規定は、刑法233条後段にあります。
虚偽風説流布業務妨害罪の刑事罰は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

本罪は、いくつかの種類がある業務妨害罪のうちの一つです。
業務妨害罪については、同じ刑法233条に規定のある信用毀損罪と同じ性質と解する説と異なるとする説があります。

業務とは、人が社会生活上の地位に基づいて反復継続して行う事務のことです。
典型的な業務は、会社が行っている店舗などでの事業や個人が生計のために行っている事業のようなものです。
ただし、本罪における業務は、収入や利益を得る目的が必要なわけではありません。
非営利団体の慈善事業や宗教団体の活動も本罪の業務に含まれます。
また、業務といいますと、団体の活動というイメージがあるかもしれませんが、一人の個人の活動であっても、業務に該当し得ます。
ただし、娯楽に過ぎない行為は、含まれません。
また、反復継続して行われていることが必要ですので、1回きりの行事のようなものは業務には該当しません。

違法な業務は、本罪で保護される業務に該当するかという問題があります。
この点、例えば覚せい剤の製造事業のような違法かつ反社会性が明確なものは保護されないことについて、争いがありません。
ただし、行政法規に違反するが、反社会性が明確とまではいあないものは業務に該当すると解するのが有力説です。
横浜地方裁判所判決昭和61年2月18日は、パチンコ店の景品交換所の仕事も、業務に該当する旨を判示しています。

それから、公務員の公務が、業務に含まれるかという点が学説上争われています。
先ほどの業務の定義からすれば、公務も業務に含まれそうです。
ただし、公務については、公務執行妨害罪の対象にもなることから、業務妨害罪の対象にすることの適否が問題となります。
判例は、公務のうち強制力を行使する権力的公務は業務妨害罪の業務に該当しないが、それ以外の公務は業務に該当するものとします。

虚偽の風説とは、客観的事実と異なる噂や情報のことです。
広島高等裁判所松江支部判決昭和30年2月28日は、競争相手の会社の製品であるミシンを廉価で販売するという新聞広告を出した行為について、本罪の成立を認めています。

流布とは、不特定または多数の者に広めることです。
最初から不特定多数に伝えなくても、徐々に伝播すれば、流布に該当すると考えられています。

本罪は、故意犯ですので、虚偽だと認識して行うことが必要です。
したがって、噂を流した者が真実だと信じていた場合には、本罪は成立しません。

また、本罪の条文上、「業務を妨害した者」と規定されています。
しかし、実際に業務が妨害されたという結果については、不要とするのが多数説です。
判例も、現に業務妨害の結果の発生は必要とせず、業務を妨害知るに足る行為があれば良いと解しています。
それは、実際に業務が妨害されたということを立証することは困難な場合があるからだと言われています。

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