人身売渡し罪

人身売渡し罪とは、人を売り渡した者に成立する犯罪です。売る.jpg
人身売渡し罪の規定は、刑法226条の3にあります。
人身売渡し罪の刑事罰は、1年以上10年以下の懲役となっています。

人身売渡し罪は、平成17年に刑法の一部が改正された際に新設された犯罪です。
それまでは、日本国外に移送する目的での人身売買(国外移送目的人身売買罪)のみを犯罪として刑法上規定していましたが、それ以外の人身売買も犯罪として処罰対象とすることになったのです。
本罪も含め、人身売買の罪として規定されています。

本罪は、人を売る犯罪です。
買う側の犯罪については、人身買受け罪未成年者買受け罪営利目的買受け罪わいせつ目的買受け罪結婚目的買受け罪生命身体加害目的買受け罪などのように、多くの種類に分けられています。
これに対し、売る側は、人身売渡し罪と所在国外移送目的人身売買罪しかありません。
その理由について、人を売る者は、人を売ることで対価を得る目的が認められることから、営利目的が存在するため、わざわざ目的を要件とせず、人を売り渡したという要件のみで犯罪を成立することにしたと言われています。
そのため、本罪は、営利目的買受け罪と同じ法定刑になっているものと思われます。

「売り渡した」とは、対価を得て人に対する不法な支配を引き渡すことです。
ただ売るという契約をしただけではなく、実際に人への支配を引き渡したことが必要と考えられています。
人の支配の引渡しがあれば、対価の授受はまだなされていなくても、「売り渡した」に該当すると思われます。

本罪が問題になった裁判例として、東京高裁判決平成22年7月13日があります。
マカオから日本に渡航した中国人女性2人を1人あたり70万円程度で売り渡した罪で起訴されました。
第1審の千葉地裁の判決では、有罪となりました。
第2審の東京高裁の上記判決では、女性に対する不法な支配が確立されていることが認められ、その支配の移転があったことが必要とした上で、女性に対する不法な支配が確立されていたというには疑念を抱かせる事情が存在するなどとし、本罪の成立を否定し、無罪としたものです。
被害者とされた女性たちは、売り渡されたというスナックで、売春などをさせられていたということですから、人身売買を疑われる状況はあります。
しかし、女性たちが自らの意思ではなく、支配されていたといえるだけの事情が認められないと判断されたものです。
この女性たちは、日本に来るために、多額の借金をしており、それを返すために、働かなければならない状態にあり、そのような状態は1つの人身売買のやり方と言われています。
しかし、本件判決を出した裁判官は、おそらく女性たちが自らの意思で借金し、日本に来て働いていたとみる合理的可能性があると考え、そうではなく人身売買の対象であったと認めるためには、比較的厳格に立証することを検察官に求めているものと思われます。

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