逮捕致死傷罪、監禁致死傷罪、逮捕監禁致死傷罪

逮捕致死傷罪とは逮捕罪を犯し、よって人を死傷させた者に成立する犯罪のことです。
監禁致死傷罪とは監禁罪を犯し、よって人を死傷させた者に成立する犯罪です。
逮捕監禁致死傷罪とは逮捕罪及び監禁罪を犯し、よって人を死傷させた者に成立する犯罪です。逮捕罪を犯して、そのまま監禁罪を犯した場合には、逮捕監禁罪一罪が成立とされていることから、その状態で人を死傷させた場合も、逮捕監禁致死傷罪一罪が成立するものと考えられています。
逮捕致死傷罪、監禁致死傷罪、逮捕監禁致死傷罪は、いずれも刑法221条に規定されています。

逮捕致死傷罪、監禁致死傷罪、逮捕監禁致死傷罪の刑事罰については、傷害の罪と比較して重い刑により処断するということが刑法221条で規定されています。
この規定の意味は、傷害の結果が生じた場合には、逮捕罪監禁罪の刑罰と傷害罪の刑罰を比較し、刑罰の上限と下限の双方について重い方を刑罰とするということです。
死亡の結果が生じた場合には、逮捕罪監禁罪の刑罰と傷害致死罪の刑罰を比較し、刑罰の上限と下限の双方について重い方を刑罰とするということです。

具体的には、傷害の結果が生じた場合、逮捕罪監禁罪の刑罰である3月以上7年以下の懲役傷害罪の刑罰である15年以下の懲役または50万円以下の罰金を比較し、刑の上限は傷害罪の刑罰を採用し、下限は逮捕罪監禁罪の刑罰を採用します。
したがって、傷害の結果が生じた場合の刑罰は、3月以上15年以下の懲役ということになります。
死亡の結果が生じた場合については、逮捕罪監禁罪の刑罰である3月以上7年以下の懲役傷害致死罪の刑罰である3年以上の有期懲役(20年以下)を比較し、刑の上限も下限も重い傷害致死罪の刑罰になります。
よって、死亡の結果が生じた場合には、3年以上の有期懲役(20年以下)となります。

逮捕罪監禁罪の内容については、それぞれの説明をご覧ください。

逮捕または監禁の際に、とにかく人が死傷すれば、直ちに本罪が成立するというわけではないと考えられています。
ただ、逮捕・監禁という事実によって人が死傷した場合には、本罪が成立することについては争いありません。
例えば、監禁された被害者が、監禁場所から脱出しようとして窓から8.4メートル下の地面に飛び降りたところ、死亡した事案において、監禁致死罪が認められています(東京高等裁判所判決昭和55年10月7日)。
高速道路を走行中の自動車において、催涙スプレーを顔面に噴射され、両手に手錠をはめられて監禁状態にあった12歳の女子が、走行中の自動車から飛び降りたことで、脳挫傷を負い、後続車両に礫過されて死亡した事例においても、監禁致死罪が認められています(大阪高等裁判所平成14年11月26日)。
自動車の後部トランクに人を監禁していた状態で、路上停車していたところ、たまたま後続の自動車が前方不注視で時速約60kmのまま追突したことが原因で、トランクに監禁されていた被害者が死亡した事案で、監禁致死罪の成立が認められています(最高裁決定平成18年3月27日)。

また、逮捕・監禁するための手段として行われた行為(暴行や脅迫など)によって人を死傷させた場合についても、本罪が成立することが認められています。

監禁中に、日頃の恨みをはらすために傷害を加えた場合は、本罪ではなく、監禁罪傷害罪が別に成立すると考えられています。

それから、監禁行為やその手段等として加えられた暴行、脅迫により被害者がPTSD(外傷後ストレス障害)を発症した事案で、監禁致傷罪が成立することが最高裁判決平成24年7月24日で認められています。

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