業務上過失致死傷罪

業務上過失致死傷罪とは、業務上必要な注意を怠り、よって人を死亡または傷害させた場合に成立する犯罪です。
業務上過失致死傷罪は、刑法211条前段に規定されています。
業務上過失致死傷罪の刑事罰は、5年以下の懲役禁錮または100万円以下の罰金です。

業務上過失致死傷罪は、業務上の過失の場合に、過失致死罪過失傷害罪より重い刑罰を科すものです。

以前は、自動車などの交通事故(人身事故)の場合に、業務上過失致死傷罪が適用されていましたが、法律が改正され、過失運転致死傷罪として、より重い刑罰が科されることになりました。

業務とは、社会生活上の地位に基づき反復継続して行われる事務で、他人の生命・身体に危害を加えるおそれのあるものと言われています。
例えば、医師の手術ミスの場合や、教員が生徒を引率している場合も、業務に該当します。
医師資格を有していない者が医師と称したに過ぎない場合も、業務に該当することを認めた裁判例もあります。
学説上は、むしろ業務に該当しない場合の方が少ないとされています。
自転車の運転については、類型的に人の氏名・身体に対する危険が少ないとして、業務上過失致死傷罪に該当しないと言われてきましたが、最近は自転車も危険な事故が増え、社会問題化していますので、業務上過失致死傷罪が適用される可能性はあると思われます。
業務に該当しない場合として、育児や家事があります。育児や家事は自然的な活動であり、社会生活上の地位に基づき行われる事務ではないと説明されます。

なぜ、業務上の過失の場合に、重く処罰されるかについては、学説での議論があります。
業務を行う者については、高度な注意義務が課されるとする説、業務を行う者は注意能力が高度なため注意義務違反の程度が大きいとする説があります。

また、以前は、業務上過失傷害罪においては、傷害が軽いときには、情状により刑を免除することができるという規定がありましたが、現在はありません。
過失運転致死傷罪については、同様の規定が置かれています。
軽い人身事故の場合には、実務上、免除ではなく、不起訴処分になることが多いです。
免除の規定は、そのような指針を示したものと考えられています。

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