公務員職権濫用罪

公務員職権濫用罪とは、公務員がその職務を濫用して、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害したときに成立する犯罪のことです。

公務員職権濫用罪の規定は、刑法193条にあります。
公務員職権濫用罪の刑事罰は、2年以下の懲役または禁錮です。

公務員職権濫用罪の刑法193条から贈賄罪の刑法198条までが、「第二十五章 汚職の罪」に分類されます。
さらに、「汚職の罪」のなかで、公務員職権濫用罪が含まれる職権濫用の罪と賄賂の罪の2種類に分けて考えられています。

公務員職権濫用罪を含む職権濫用の罪が、何のために存在するか、つまりこの犯罪を設けることでどのような法益を保護しようとしているかについて、学説上争いがあります。
現在の一般的見解は、第一に公務の適正さに対する国民の信頼であり、第二に職権濫用行為によって侵害される個人の利益と解釈しています。

本罪における公務員については、①強制力を伴う権限を有する公務員に限るとする説と、②公務員であれば足りるとする説の争いがありますが、判例は特に限定を設けていないと考えられています。

職権を濫用したことが必要とされているため、公務員が権利を侵害するような行為をしたとしても、当該公務員の職権と無関係であれば公務員職権濫用罪は成立しません。
裁判例で、保護観察所の課長が面接の際に児童にわいせつ行為をした場合に、職権と無関係としたものがあります(東京高裁判決昭和27年12月19日)。
職権について、判例は、必ずしも法律上の強制力を伴うものであることを要せず、それが濫用された場合、職権行使の相手方をして事実上義務なきことを行わせ、または行うべき権利を妨害するに足りる権限であれば足りると判示しました。
実際にあった事例で、裁判官が女性の被告人に対し、被害弁償のことで会いたいと電話して喫茶店に呼び出して同席させたことが、裁判官の職権の濫用に該当すると判示されました(最高裁決定昭和60年7月16日)。

濫用とは、職権の行使にかこつけて違法・不当な行為をすることと考えられています。
職権濫用行為の相手方が、その行為が公務員の職権と認識できる必要があるかについて、そのような必要は無いとする見解が学説上多数の見解です。
最高裁決定平成元年3月14日は、警察官が日本共産党幹部の自宅の電話を盗聴した事案において、相手方の意思に働きかけて影響を与えることは本罪の不可欠の要件ではないとしながらも、警察官は終始何人に対しても警察官による行為でないことを装う行動をとっていたのだから、職権の濫用は認められない旨判示しています。

職権濫用の結果として、義務のないことを行わせ、権利の行使を妨害したことが必要です。
義務のないことを行わせた例として、裁判官が刑務所長に対し、司法研究などの正当な調査・研究と偽って、身分帳簿の閲覧や写しの交付をさせたもの(最高裁決定昭和57年1月28日)があります。
権利の行使を妨害した事例として、和解調書に、土地を執行吏の保管に付し、その公示を命ずる旨の条項が存在しないのに、執行吏が職権を濫用し、右和解調書の執行として、「本職之を占有保管する」旨虚偽の記載をした公示札を土地上に立てたもの(最高裁決定昭和38年5月13日)があります。

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