死体遺棄罪、死体損壊等罪

死体遺棄罪を含む死体損壊等罪とは、死体・遺骨・遺髪・棺に納めてある物を損壊・遺棄・領得をした者に成立する犯罪のことです。

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このうち、死体を遺棄する犯罪が死体遺棄罪です。

死体遺棄罪を含む死体損壊等罪は、刑法190条に規定されています。
その刑事罰は、3年以下の懲役です。

死体とは、死亡した人の身体のことです。死亡した身体の一部も、死体に含まれると解されています。
また、胎児の状態で死亡した場合も人体の同様の形状になっていれば、死体に該当すると考えられています。
実際の裁判例で、死体遺棄の事案で、遺棄した時点では死亡していなかった可能性が法医学的な観点で認められる場合でも、社会通念上被害者は死亡していたと認め、死体遺棄罪の成立を認めたものがあります(札幌高裁判決昭和61年3月24日)。
この事案で、仮に遺棄した時点で被害者が生存していた場合には、死体遺棄罪より重い刑罰が科される重過失致死罪が成立すること等が考慮されています。

遺骨とは、死者の祭祀・記念のために保存されている、または保存されるべき死者の骨のことです。
遺髪とは、死者の祭祀・記念のために保存されている、または保存されるべき死者の頭髪のことです。
遺骨も、遺髪も、祭祀・礼拝の対象になるものであることが必要ということで解されています。
棺に納めてある物とは、いわゆる納棺物・副葬品のことです。埋葬の際に死体・遺骨と共に棺内に入れて置かれた物です。
棺桶そのものは、これに含まれないと考えられています。

本罪の実行行為は、損壊・遺棄・領得です。
損壊とは、物理的に破壊・損傷することです。
最高裁判決昭和23年11月16日は、いわゆる屍姦は、損壊に該当しないと判示しました。

遺棄とは、社会通念上埋葬と認められないような方法で死体等を放棄することと解されています。
殺人犯が、殺した被害者の死体を山中に捨てたり、埋めたりするのが典型的な例です。
殺人犯が、路上で、被害者を殺し、そのまま放置して立ち去った場合については、遺棄には該当しないと思われます。
原則として、死体を移動させる行為が必要です。
例外的に死体を移動させなくても死体遺棄罪に該当する場合は、死体を埋葬する作為義務を負う者に限られると解されます。

領得とは、死体等の占有を取得することです。
納棺物を領得した場合に、本罪(納棺物領得罪)が成立する以外に、窃盗罪等が成立するかについては、学説上争いがあります。
大審院判決大正4年6月24日は、窃盗罪等の成立を否定しました。

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