墳墓発掘罪

墳墓発掘罪とは、墳墓を発掘する犯罪のことです。

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墳墓発掘罪は、刑法189条において規定されています。
墳墓発掘罪の刑事罰は、2年以下の懲役となっています。

墳墓発掘罪は、礼拝所不敬罪説教等妨害罪などと同様に、「第二十四章 礼拝所及ぶ墳墓に関する罪」に属しています。
これにより、墳墓発掘罪は、宗教的感情や健全な宗教的風俗を保護するために規定されていると考えられています。

墳墓とは、人の死体・遺骨・遺髪などを埋葬して死者を祭り、礼拝の対象となる場所のことです。
死体の一部を埋葬している場合や、胎児のまま死亡してしまった場合のいわゆる死胎を埋葬している場合も含みます。
ただし、あくまで「人」であることは必要とされ、ペットを埋葬して礼拝をする墓については、本罪の墳墓には該当しないと解されています。
人の死体が埋葬され、礼拝の対象になっていれば、墓石や墓標がなくても、墳墓に該当すると考えられています。
逆に、人の死体が埋葬されていなければ、墓石があったとしても、墳墓には該当しないとされています。
それから、古墳は、かつて墓所で礼拝の対象になっていたとしても、既に礼拝の対象になっていない場合について、墳墓に該当しないとする古い裁判例(大審院判決昭和9年6月13日)があります。

発掘とは、墳墓の覆土(ふくど)の全部・一部を除去し、または墓石などを破壊・解体して、墳墓を損壊する行為のことであり、墳墓内の棺桶や骨壺を外部に露出させることまでは必要ないとするのが判例(最高裁判決昭和39年3月11日)です。
この点に関し、下級審判決で、コンクリート製納骨室の場合に、納骨室の上部にある墓石を押し倒して転落させただけではなく、納骨室の壁、天井等の重要部分を破壊・解体することが必要と判示したものがあります(福岡高裁判決昭和59年6月19日)。

また、刑事訴訟法では、刑事事件の捜査として、裁判官が発する令状に基づき、警察官や検察官等が墳墓の発掘を行うことができると規定されています(刑事訴訟法222条1項、129条)。
墓地、埋葬等に関する法律において、改葬、つまり埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことを行うためには、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長の許可を受けることが必要であると規定されています(5条)。
このように、法令上認められている場合については、墳墓発掘罪には該当しません。

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