強制わいせつ致死傷罪、準強制わいせつ致死傷罪

強制わいせつ致死傷罪とは強制わいせつ罪または強制わいせつ罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた場合に成立する犯罪です。

準強制わいせつ致死傷罪とは準強制わいせつ罪または準強制わいせつ罪の未遂罪を犯し、よって人を死傷させた場合に成立する犯罪です。

強制わいせつ致死傷罪、準強制わいせつ致死傷罪は、いずれも刑法181条1項に規定されています。
両罪の刑事罰については、いずれも、無期または3年以上(20年以下)の懲役です。

強制わいせつ致死傷罪、準強制わいせつ致死傷罪は、強制わいせつ罪準強制わいせつ罪の行為の結果、被害者に傷害・死亡という重い結果が発生した場合に、重い刑罰を科すものです。
このような犯罪を結果的加重犯といいます。
強制わいせつ致死傷罪、準強制わいせつ致死傷罪が処罰されるのは、強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪の行為には被害者に傷害・死亡という重大な結果を生じさせる可能性が高いところ、そのような重大な結果が発生することを防ぐために、より重い刑罰を科す規定を設けたものと思われます。

死傷とは、被害者が死亡し、または傷害を負ったことを指します。

死亡については、刑法上、いわゆる三徴候説が一般的にとられています。
三徴候説は、自発呼吸の停止・脈(心拍)の停止・瞳孔反射機能の停止という3点から心臓の死を判定し、これを人の死とする見解です。
これに対する見解として、脳死をもって人の死とする脳死説もありますが、それほど支持は広がっていません。

傷害は、人の生理機能の障害とするのが判例です。
判例上、いわゆる怪我を負わせた場合だけでなく、病気を感染させることや、キスマークをつけることも、傷害として認めています。

強制わいせつ致死傷罪において、傷害・死亡という重い結果が、どのような行為によって発生したことが必要であるかについて、議論があります。
この点、わいせつ行為またはその手段としての暴行・脅迫行為によって、傷害・死亡の結果が発生したことが必要とする見解があります。
判例は、準強制わいせつ罪を犯した者が、わいせつ行為を行う意思をなくした後、逃走するために被害者に暴行を加え傷害を負わせた事例で、準強制わいせつ致死傷罪の成立を認めています(最高裁決定平成20年1月22日)。
他の判例も、わいせつ行為・その手段としての暴行・脅迫行為だけでなく、強制わいせつの機会に死傷の結果が発生した場合に、本罪の成立を広く認めている傾向があります。例えば、襲われた被害者が逃走しようとして窓から飛び降りた際に骨折した事案でも、傷害の結果の責任を負わせています。
また、本罪は、強制わいせつ罪準強制わいせつ罪そのものが未遂に終わった場合も、実行の着手が認められれば、成立することが条文上明確に規定されています。

本罪のような結果的加重犯の場合、犯人が被害者の死傷という重い結果が発生することを認識していなかったとしても、結果的加重犯が成立します。
判例は、死傷という結果発生について過失があることも必要ないと解しています。通説は、行為者に障害の結果発生について過失があることが必要としています。

そして、死傷の結果が発生することを認識しながら行為が行われた場合(故意がある場合)にも、本罪が成立するかどうかが学説上議論されています。
判例は、死傷の結果が発生することを認識していた場合には、本罪が成立せず、傷害の結果の場合には強制わいせつ罪準強制わいせつ罪と傷害罪、死亡の結果の場合には強制わいせつ罪準強制わいせつ罪と殺人罪の成立を認めます(成立する2つの犯罪の関係は刑法54条1項前段の観念的競合とします)。
これに対し、特に傷害の結果の場合について、傷害の発生を認識していなかった場合に成立する本罪と、傷害の発生を認識していた場合に成立する強制わいせつ罪準強制わいせつ罪と傷害罪の観念的競合の場合について、判例によれば、前者の刑罰(無期または3年以上20年以下の懲役)の方が後者の刑罰(3年以上20年以下の懲役)より重くなるのは不当ではないかという批判があります。

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