虚偽鑑定等罪

虚偽鑑定等罪とは、法律により宣誓した鑑定人・通訳人・翻訳人が、虚偽の鑑定・通訳・翻訳をした場合に成立する犯罪のことです。

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虚偽鑑定等罪は、刑法171条に規定されています。
虚偽鑑定等罪の刑事罰は、偽証罪と同じとされており、3月以上10年以下の懲役です。

この犯罪は、法律により宣誓した鑑定人・通訳人・翻訳人だけが犯しうる犯罪であり、いわゆる真正身分犯です。

鑑定人とは、特別の知識や経験を元に意見を述べる者です。
刑事訴訟法165条において、裁判所は学識経験のある者に鑑定を命ずることができると規定されています。
例えば、刑事裁判のなかで弁護人被告人にとって有利な証拠として、弁護人が依頼した学識経験者の意見書を出すことがありますが、それは私的鑑定であり、虚偽鑑定等罪が問題となる鑑定人にはなりません。
刑事裁判だけでなく、民事裁判でも鑑定人による鑑定が行われることがあります。
民事訴訟法212条1項で、鑑定に必要な学識経験を有する者は、鑑定をする義務を負うと規定されています。

通訳人は、日本語が通じない者との通訳をする者のことです。
特に、外国人が被告人の事件で、通訳人による通訳が行われることが多いです。
刑事訴訟法175条において、国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならないと規定されています。

翻訳人は、日本語ではない文字・符号を日本語に翻訳する者のことです。
実際の裁判では、翻訳人が出てくることはあまりありません。
刑事訴訟法で、国語でない文字・符号は、これを翻訳させることができると規定されています(177条)。

法律により宣誓したとは、法令の根拠に基づいて宣誓が行われる場合のことです。
例えば、刑事訴訟法166条で、鑑定人は、宣誓をさせなければならないと規定されていますので、刑事裁判の鑑定人の場合、法令の根拠に基づく宣誓が必須です。
したがって、刑事裁判の鑑定人は、法律に宣誓した鑑定人に該当し、本罪が成立する可能性があります。
ただし、捜査段階で捜査機関が依頼する鑑定受託者(刑事訴訟法223条)は、鑑定人に該当しません。

虚偽の鑑定・通訳・翻訳が何を意味するかについて、偽証罪の虚偽の陳述と同じ問題があります。
つまり、鑑定人等が、自己の信じるところである所信に反することを述べるのを虚偽とするのか、客観的真実に反することを述べるのを虚偽とするのかという争いがあります。
判例は、自己の信じるところである所信に反することを述べるのが虚偽であると解釈しています。
したがって、鑑定人等は、自己の信じるところに従っていれば、虚偽鑑定等罪に該当することはないということです。それが客観的真実に反しても同じです。
学説上の有力な見解は、客観的真実に反するのが虚偽と解釈します。
この見解ですと、自己の信じるところに従った意見を述べていたとしても、虚偽鑑定等罪に該当することがあり得ることになります。

虚偽鑑定等罪が既遂犯として成立する時期については、鑑定等が書面の場合は書面提出時であり、口頭の場合は口頭での陳述が全体として終了した時点と言われています。
虚偽の鑑定が、判決に影響を与えたことは、本罪成立の要件ではありません。

また、偽証罪と同様に、虚偽鑑定等罪を犯した者が、その鑑定等をした裁判が確定する前・懲戒処分が行われる前に、自己の罪を自白したときには、その刑が減軽・免除される場合があると規定されています(刑法170条)。

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