不正指令電磁的記録取得等罪

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不正指令電磁的記録取得等罪とは、正当な理由がないのに、人の電子計算機における実行の用に供する目的で、以下の電磁的記録その他の記録を取得・保管する犯罪です。


①人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、またはその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録。
②その他の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録。

不正指令電磁的記録取得等罪は、刑法168条の3において規定があります。
不正指令電磁的記録取得等罪の刑事罰は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処する旨規定されています。

不正指令電磁的記録取得等罪は、世界的に社会問題となっているコンピューターウイルスによる被害を防ぐために規定された犯罪類型です。
世界的な問題であることから、欧州評議会でサイバー犯罪に関する条約が平成13年に締結され、日本も締結しました。
不正指令電磁的記録取得等罪は、「第19章の2 不正指令電磁的記録に関する罪」の章で規定されており、この章に規定されている不正指令電磁的記録作成罪不正指令電磁的記録供用罪と共に、平成23年に行われた刑法改正で新たに設けられたものです。

本罪の対象のうち、①人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、またはその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録と規定されたものがコンピューターウイルスを指します。
②その他の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録は、完全には完成していないコンピューターウイルスやコンピューターウイルスを作るためのソースコードの記録などが含まれます。

これらコンピューターウイルス等を取得・保管することが、本罪の実行行為です。
取得とは、上記①・②の記録であることを知った上で、自己の支配化に移すことです。
保管とは、上記①・②の記録であることを知った上で、自己の支配化に置いておくことです。
ただし、ただ取得・保管していただけで犯罪が成立するわけではなく、人の電子計算機における実行のように供する目的があることが必要です。
この目的は、コンピューター(電子計算機)を使用する他人が、コンピューターウイルスだと知らないまま、これを実行する意思がないのに、実行できる状態にしようとしていることです。
つまり、他人のコンピューターにそのコンピューターウイルスを感染させる目的が必要ということです。

例えば、他人に感染させる目的で、自らコンピューターウイルスを作成した上、そのコンピューターウイルスを保管していた場合、不正指令電磁的記録作成罪と本罪が成立し、両罪は牽連犯(刑法54条1項後段)の関係に立ちます。

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