虚偽診断書等作成罪

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虚偽診断書等作成罪とは、医師が公務所に提出すべき診断書・検案書・死亡証書に虚偽の記載をした場合に成立する犯罪です。

虚偽診断書等作成罪は、刑法160条に規定されています。
虚偽診断書等作成罪の刑事罰は、3年以下の禁錮または30万円以下の罰金です。

本罪の主体は医師であり、医師という身分のある者しか犯すことのできない犯罪ということで真正身分犯とされています。
本罪における医師とは、医師と歯科医師のことです(医師と歯科医師は別の資格です。)。
国立病院の医師のように公務員の場合には、その医師が虚偽の記載をした場合には、虚偽公文書作成等罪が成立し、虚偽診断書等作成罪は成立しません。
したがって、虚偽診断書等作成罪の医師は、公務員である医師は含みません。

診断書とは、医師が診察の結果に関する判断を表示して、人の健康上の状態を証明するために作成する文書のことを指すと言われています。
一般的に医師が記載する診断書です。

検案書とは、生前から診療に従事していない医師が死体の死因・死亡時期等について、医学的に確認した結果を記載した文書のことです。
いわゆる司法解剖や行政解剖で作成されるのが検案書です。

死亡証書とは、生前から診療にあたっていた医師が患者の死亡時に、死亡の事実を医学的に確認した結果を記載する文書のことです。
一般的に、病院等で死亡された人について作成される死亡診断書のことです。

診断書・検案書・死亡証書は、公務所に提出されることが予定されていることが必要です。
公務所に提出することが法令で義務づけられている場合だけに限りません。
検案書や死亡証書は、公務所に提出されることが予定されている場合がほとんどだと思われます。
診断書は、公務所に提出されることが予定されている場合はそれほどないと思いますが、傷害などの刑事事件で被害届を出すことが予定されている場合には、本罪が成立します。
虚偽の診断書等が作成された時点で、公務所に提出されることが予定されていれば、虚偽診断書等作成罪が成立します。
実際に、公務所に提出されたことは必要ありません。

虚偽の記載とは、医師の診断・認識または真実に反する事項を記載することと解されます。

虚偽診断書等作成罪は、私文書について、文書の作成権限のある者によって虚偽の内容の記載がされることを処罰する唯一の刑法上の犯罪です。
つまり、診断書等以外の私文書について、虚偽の内容の記載をすることは、刑法上、処罰の対象となりません。
刑法は、文書の作成権限のない者が偽って文書を作成する、いわゆる偽造については、広く処罰の対象としますが、虚偽の内容の記載をするものの文書の作成権限を偽っていない場合には、処罰対象を非常に狭くしています。
それは、文書の作成権限が偽られていなければ、虚偽の内容を記載した文書作成者に責任を追及することが可能であるからと思われます。

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