あへん煙吸食罪とは
あへん煙吸食罪とは、あへん煙を吸引・摂食することによって成立する犯罪です。
あへん煙吸食罪は、刑法139条1項において規定されています。
あへん煙吸食罪の刑事罰は、3年以下の懲役になります。
あへん煙吸食罪の処罰の必要性
あへん煙吸食罪は、あへん煙を摂取することが処罰の対象となっています。
そこで、自らの身体を傷つける自傷行為の一種とみることができるとする見解があります。
この見解は、自傷行為は傷害罪にならないこと等から、あへん煙吸食罪の存在に疑問を呈しています。
ですが、あへん煙という薬物の使用により、その者自身の身体や精神状態をおかしくするだけではなく、精神状態が不安定になった者が別の犯罪を行うおそれがあり、これにより別の被害者が発生するおそれがあります。
また、犯罪組織の収益源になる場合があることや、薬物の使用の広がりが公衆の安全や健康等を害する危険があります。
したがって、あへん煙の自己使用を処罰する必要性は高いものと思料されます。
吸食とは
あへん煙吸食罪の実行行為は、刑法139条1項において、「吸食」と規定されていますが、吸引・摂食と解しています。
別の表現としては、呼吸器または消化器によって消費することになります。
その具体的方法は、一切限定されていません。
器具を使用する場合も、器具を使用しない場合でも、いずれも吸食に該当し得ます。
あへん煙とは
あへん煙とは、あへん煙輸入等罪と同様であり、けしの液汁を凝固させたもの(生あへん)を吸引に適するように加工・精製したもののことで、あへん煙膏ともいわれます。
既遂・未遂について
あへん煙吸食罪は、あへん煙を吸引・摂食をした時点で犯罪として既遂になると思われます。
あへん煙を吸引・摂食しようとしたが、結局吸引・摂食しなかった場合には、あへん煙吸食罪の未遂として処罰されることになります。
未遂犯が処罰されることは、刑法141条において規定されています。