往来危険による汽車転覆等罪、往来危険による艦船転覆等罪

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往来危険による汽車転覆等罪、往来危険による艦船転覆等罪とは往来危険罪を犯し、よって、①汽車・電車を転覆・破壊し、または②艦船を転覆・沈没・破壊した場合に成立する犯罪です。

①が往来危険による汽車転覆等罪であり、②が往来危険による艦船転覆等罪です。
往来危険による汽車転覆等罪、往来危険による艦船転覆等罪は、刑法127条で規定されています。
往来危険による汽車転覆等罪、往来危険による艦船転覆等罪の刑罰は、汽車転覆等罪及び艦船転覆等罪と同様とされ、無期または3年以上の懲役です。
加えて、往来危険による汽車転覆等罪または往来危険による艦船転覆等罪の結果、人が死亡した場合に、汽車転覆等致死罪・艦船転覆等致死罪に関する刑法126条3項の適用を認める判例・通説によれば、その場合の刑罰は、 死刑または無期懲役になります。

往来危険による汽車転覆等罪は、往来危険罪が成立する実行行為である汽車・電車の往来の危険を生じさせる行為をした結果、汽車・電車が転覆または破壊されたことにより成立します。
汽車は、蒸気機関で軌道上を走行する交通機関です。
電車は、電力で軌道上を走行する交通機関です。
往来の危険というのは、衝突・脱線・破壊など往来に危険な結果を生ずるおそれのある状態です。
転覆は、汽車・電車を横転、転落させることです。脱線は、転覆には該当しないと考えられています。
破壊は、汽車・電車の実質を害して、その交通機関としての用法の全部または一部を失わせる程度の損壊です。
また、最初から汽車・電車を転覆・破壊する意思がある場合に、結果として汽車・電車が転覆・破壊すれば、汽車転覆等罪が成立することになりますので、往来危険による汽車転覆等罪は成立しません。
つまり、往来危険による汽車転覆等罪は、汽車・電車を転覆・破壊する意思はなかったものの、そのような危険のある行為をした結果、汽車・電車の転覆・破壊の結果が発生した場合に成立する犯罪です。
重い結果が発生することについて認識がない犯罪ということです。
それから、転覆等した汽車・電車は、汽車転覆等罪と同様、現に人がいることが必要かどうかについて学説上の争いがあります。
判例は、無人電車が転覆した場合について、往来危険による汽車転覆等罪の成立を認めたものがあり、現に人がいる汽車・電車である必要は無いと考えていると解されます。

往来危険による艦船転覆等罪は、往来危険罪が成立する実行行為である艦船の往来の危険を生じさせる行為をした結果、艦船が転覆・沈没・破壊されたことによって成立します。
艦船は、軍用船やその他の船舶のことです。
転覆は、艦船を横転させることです。
沈没は、艦船の主要部分が水中に没した状態にさせることです。
破壊は、艦船の実質を害して、その航行機関たる機能の全部または一部を不能にする程度に損壊させることです。
往来危険による艦船転覆等罪も、往来危険による汽車転覆等罪と同様、結果的加重犯とされています。
最初から、艦船を転覆・沈没・破壊するつもりで行為が行われていた場合には、艦船転覆等罪が成立し、往来危険による艦船転覆等罪は成立しません。
本罪についても、現に人がいる艦船であることが要件であるか否かについて、争いがあります。

また、 往来危険による汽車転覆等罪または往来危険による艦船転覆等罪の結果、人が死亡した場合に、汽車転覆等致死罪・艦船転覆等致死罪に関する刑法126条3項が適用されるかについて、学説上の争いがあります。
判例通説は、前述のとおり、刑法126条3項の適用を認めます。
判例通説は、刑法127条が「前条の例による。」と規定され、「前条第1項、第2項の例による。」のように3項が除外された規定になっていないこと等を根拠とします。
これに対し、刑法127条には「人を死亡させた」などの言葉がないこと、往来危険罪を犯して汽車・電車・艦船の転覆等がなく人が死亡した場合は、往来危険罪の2年以上の有期懲役にしかならないこと(死亡の点は過失致死罪が成立しますが、その刑罰は50万円以下の罰金に過ぎません。)との均衡を失することから、刑法126条2項の適用を否定する説も有力ではあります。

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