失火罪

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失火罪とは、過失により出火し、物が焼損したことで成立する犯罪です。

失火罪は刑法116条に規定されています。
失火罪の刑事罰は、50万円以下の罰金です。

失火罪の規定である116条は、焼損した物により1項と2項に分けられています。
1項は、焼損した物が現住建造物等(刑法108条に規定されている物)または他人所有の非現住建造物等(刑法109条1項に規定されている物)の場合です。
2項は、焼損した物が自己所有の非現住建造物等(刑法109条2項に規定されている物)または建造物等以外の物(刑法110条で規定されている物)の場合です。
1項と2項では、要件が異なります。
つまり、2項の場合には、結果として公共の危険が発生したことが必要となっています。1項の場合には不要です。
1項の場合は抽象的危険犯であり、2項の場合は具体的危険犯と言われます。

失火罪の実行行為は、刑法116条で失火と規定されています。
失火とは、過失により出火することです。
過失の具体的内容については、議論がありますが、判例実務の一般的な考え方としては、結果が発生することを予見する義務または結果発生を回避する義務があるにもかかわらず、不注意によりその義務を怠ることです。
例えば、寝たばこをしていたところ、たばこの火を消さないまま寝てしまい、火災が発生した場合には過失による出火と認められ、失火罪が成立すると思われます。

失火により物が焼損したことが必要です。
焼損については、現住建造物等放火罪において詳しく説明していますが、判例は、火が媒介物を離れて、目的物が独立に燃焼を継続するに至った状態をいうものと解釈しています。

刑法116条2項が適用される場合には、物が焼損しただけでなく、それにより公共の危険が発生したことが必要です。
公共の危険については、非現住建造物等放火罪で詳しく説明しています。
要するに、公共の危険とは、周囲に延焼する危険のことです。
周囲に全く延焼する危険がないところで2項の適用を受ける目的物に失火による火災が発生したとしても、公共の危険が発生していないことになれば、失火罪にはなりません。
そのようなことから、刑法では、周囲への延焼の危険を重視していると考えられています。

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